2011年12月11日日曜日

顧客へのリーチを如何に短くするか?

私は読書が好きだ。
とはいうものの限られた範囲の中での読書である。
特に経営、マーケティング、統計調査、営業、不動産に関連するものが大半を占めている。

本は図書館では借りず、あくまで購入する。
毎月約5万円を書籍代に計上しているが、購入書店はほぼ決まっている。
現在の購入店舗第1位はアマゾン、第2位は紀伊国屋書店、第3位がブックファーストである。

この1位と2位の書店からの購入には純然たる理由がある。
その理由は、在庫情報がネット上にオンタイムで反映されていることである。

まず、書評などである本に興味を持つ。
その際、自分自身の中で購入経路として大きな分岐点が存在する。
今すぐ読みたいかそうでないかである。

今すぐ読みたい場合は、「紀伊国屋書店」の店舗在庫をチェックする。
自宅近く、会社ビル内、通勤経路に3か所の紀伊国屋が存在するため、ほとんどの場合、このいずれかに在庫がストックされている。そこで購入を「心の中で」決定し、いずれかの店舗に向かうのである。

次に「今すぐ(ASAP)」ではないが、出来るだけ速やかに入手し、読みたいと思われる書籍を購入する場合はアマゾンとなる。なぜなら、アマゾンには「中古本」が掲載されており、少しでも安く手に入れられれば予算が有効に使えるからである。

このように本を買う一つの行為をとっても、店舗から顧客の手元に如何に情報を届けておくかで、実際の購買行動に多大な影響を与えられているのである。

もちろんこれは、本を大量に購入する私の一例にすぎない。
しかし、同じ商品であれば出来るだけ顧客の近くにリーチするかが、販売のカギを握っている。それは、物理的な距離だけではなく心理的距離も含まれている。

例えば私の販売するサービスである「調査」や「営業コンサルティング」は、単に物理的距離のリーチをネット上で短くしたからといって売上に直結するわけではない。それは心理的距離がまだ遠いからだ。心理的距離とは、そのサービス自体の理解もあるだろうし、そのサービスを提供する企業、あるいはそのサービスを提供する私自身を知らないという事実でもある。この物理的・心理的距離を短く出来た結果が、その企業の成果に直結してくる。

自分の会社にとっての「距離」を明確に意識し、少しでも短くする努力を怠らないようにしなければならない。来年の弊社にとっての「距離」とは何か?どのように短くすべきか?
そろそろ新年の抱負を検討しなければならない時期がすぐそばまでやってきている。

2011年11月15日火曜日

営業成績トップのMRから学ぶ「顧客志向」

とある外資系製薬会社の営業マンから訊いた話。

彼女は、毎年、その企業でトップクラスの成績を収めている。
全国にMRは6万人近く存在しているが、そのなかでなぜ彼女は営業成果を上げ続けられるのか。

そのひとつの要因として、「顧客の日常行動パターンの把握」が重要であるという。
これは、昨日、「ピンチをチャンスに」内でも述べたが、顧客がどのような生活行動の中で、商品を使用しているのかをしらなければ、本当に顧客に必要とされる商品が作れないというのと同じことだ。

やみくもに訪問しても、対象とする医師は相手にもしてくれないばかりか、悪い印象しか残さない。しかし彼女は、担当医師の診察時間や、どの時間帯は余裕があるのか、いつごろならアポがとりやすいのかについて、事前に把握したうえで連絡を行っているというのだ。

つまり、顧客自身の立場に立った時、どうすればMRから話を訊く体制になれるのかといったことを考えて行動しているのである。

もちろん、これだけで営業成績がトップになるわけではない。
しかし、営業担当者は自分の商品を売ることに必死になってしまい、顧客のことをしばしばわすれがちである。相手も人間であり、単純に商品だけ買うのなら、ネットで十分な時代はすでに来てしまっている。

そうしたなかで、営業担当者がその力量を最大限発揮するためには、購入者の立場に立って、代理人としてどう働くのかという考えも必要だ。

英語では営業マンのことを、セールスレプレゼンタティブと表記する。
このレプレゼンタティブには、代表者・代理という意味が含まれている。
基本的には会社側の代表者を意味していると思われるが、私は顧客の代理人としての意味も大いに含まれていると感じている。

誰が収益を生み出しているのか。
それは顧客に他ならない。
顧客視点に立つことの重要さを示唆している話だった。

2011年11月14日月曜日

ピンチをチャンスに


我が家で数年前に購入した液晶テレビ。

このたび、同製品使用中に発煙があったとの重大事故の発現により、消費生活製品安全法に基づくリコールが発表された。リコール対象は約19万件。我が家には、購入した電気店からのDMによって情報が伝達され、当方より、直接メーカーのコールセンターに報告。先日、メーカー修理担当者が訪問され、約30分ほどの作業を終えた。

訪問担当者に話を聞いたところ、この19万件を1200チーム(1チーム二名構成)で担当しているとのこと。1チーム当たり約160件を訪問する計算になる。

さて、タイトルに「ピンチをチャンスに」と書いたが、
私が驚いたのは、この訪問が、ただの修理だけに終わっていたということだ。

メーカーは、実は購入者が誰かということを全く把握していない。あくまで販売者である量販店や販売店が直接の顧客であるからだ。今回の連絡も先に書いたように、あくまで購入した電気店からの報告によってだ。つまり、今回のリコールによって、このメーカーは、直接顔の見えるお客様19万件の動向が手に入るチャンスがあったわけだ。

設置場所の写真。埃の積もり度合い。照明との位置関係や視聴ポジションとの距離など、マーケティングデータとしては「生」の貴重な情報が手に入るはずだった。しかし、残念なことにこうした取り組みは一切なく、ただの修理に終始してしまっていた。

2400人ものメーカー社員を動員するために、いったいどれだけのコストをかけているのだろうか?1日3件まわっても、約2カ月フル稼働しなければならない。人件費だけで約12億円の出費だ(1200人×50万円×2か月=12億円)。

これだけのコストをかけるわけだから、何か得られる教訓があるはずだ。こうしたリコールを単なる「コスト」と考えず、顧客から学ぶという姿勢を常日頃から持ってさえいれば、より顧客のためになる有効なデータが収集できたはずなのだ。

日本のテレビメーカーは、韓国など新興国に惨敗の様相を呈している。それは、製品を「単なる販売物」として捉え、「顧客の生活の一部分を構成している要素」として見れていないことが、敗因の一要素ではないかとも思う。

「顧客の生活の一部分を構成している要素」としての製品を見るためには、顧客の生活の場に入り込むことこそが唯一の方法なのだ。マーケティングリサーチで表面的な質問をするよりは、実際に顧客の家に訪問し、どうやって製品を使用しているのかを知ることの方が、何十倍もの重要なデータが入手できるのだ。

こうした機会をチャンスと捉えられなかった今回のリコール。
まったくこのメーカの管理職は、どんな仕事をしているのだろうか?

2011年11月10日木曜日

人は説得したからといって動かない

電子部品会社の営業部長様からの御相談。

ある大口取引先の近々の取引額が急速に落ちてきた。
通常1500万/月が、ここ2~3カ月は5~600万円/月になってきているというのだ。
その理由として事業部長が電話で、先方に確認したところ、顧客の顧客がこの社への取引を渋っており、転注を検討しているからだというのだ。

その話を聞いた営業部長、早速先方に乗り込んで説得するので、協力してほしいと息巻いていた。そこで私の登場(笑)

部長、もしその大口取引先様やその顧客の立場にたって、同じことされてどう思われますか?
かなり強引な奴だな、勝手な奴だなと思われて終わりですよね!
そんな一時的な説得で、本当にその1500万円の取引が戻ってくるのでしょうか?
そもそも、受注額が落ちた要因すら、一次情報として確認できていませんよね。
であれば、まずは取引が減少している要因について、ぜひ今後の自分たちの課題にするので教えてほしいという姿勢で先方に伺うべきではないでしょうか?

営業とは、目の前の数値が全てになりがちで、どうしても目先の1000万近い減収をどうにかしなければと、短期的な解決策を模索しがちである。しかし、もしこの短期的な取り組みを実際に行った場合どうなるか、一呼吸置いてシミュレートしてみてはどうだろうか。相手の立場に立つというのは実際には難しいが、立場を置き換えて考えてみることは可能だ。

この営業部長の場合、当然、自社でも電子機器製造過程において外注先が存在している。
この外注先への発注量が減っているさなか、突然どうにかして元の発注量に戻してもらえないかと、先方の営業部長が説得に訪れたらあなたはどう思いますか?…と。

「だってうちだって関連商材の発注が減っているからしょうがないじゃない」ということもあるし、「この機会に別の外注先に変わるかな」ということもある。その本当の理由が分からない限り、どんな取り組みを行ったとしても無駄足である。

行動を起こすためには、まず「正確な情報収集」を心がける必要がある。
「説得すればなんとかなる」という姿勢は、こちら側の勝手な論理にすぎない。
顧客は何を求めているのか?こうした変化の機会を捉えて、相手の考え方を知る機会だと考えられれば、よりパートナーとして長い取引が可能になってくる。

結果的に、この大口取引先に赴いた営業部長、原因を確認した結果、震災後のつくりすぎが原因で在庫が積みあがっていたためであることが発覚。ぜひ一緒に取引先開拓についてタッグを組んでやっていきませんかという前向きな話になり、新しい仕事まで取ってこれたとのこと。

もし、初めの鼻息のままお客様のところに説得に言っていたらどうなっていたか?
それを考えるだけで・・・

2011年11月9日水曜日

営業のコペルニクス的方針転換

国内大手の一角を担う、印刷企業の経営企画へのコンサルティング。

この会社では、主事業である印刷部門が年々売上を下げ、赤字体質から抜けきれない。他方、他事業部で収益をなんとか確保してはいるものの、主事業の抜本的な改善は果たせないまま。

そこで営業方針を転換し、1年前から経営企画が旗振り役になって、顧客分析、情報共有、バックアップ体制の強化と、王道ともいえる取り組みを開始。しかし、成果が出ないまま、トップの意向が変節し、経営企画自体も縮小されてしまった。しかし、問題意識を持ち続けている経営企画は、このままでは終われないと、日々、次の方策を検討しているという状態。

私は経営企画担当者にある質問をした。「御社印刷部門は何を売っている部門ですか」と?
すると、担当者たちは、「顧客が必要とする印刷物を印刷する部門」だとか、「顧客の広告戦略の印刷部分を担っています」といった各々の考えを述べてくれた。

つまり、「顧客の問題解決を「印刷」を通じてお手伝いしています」ということである。しかし、企業の本質は「顧客の問題解決のお手伝い」が第一義であるわけだから、なにも「印刷」にこだわらなくてもいいはずなのだ。

なにしろ、印刷会社は非常に特異な存在で、どの規模のどんな業種業態の会社であっても取引出来る数少ない業種の一つである。つまり、自分たちのお客様の悩みを知り、それを解決することが出来るお客様を紹介し合うことが出来れば、当然「顧客の問題解決のお手伝い」ができるのだ。その結果として、印刷物の発注も増えるはずである。

まずはお客様の成長を考えることで、自分たちの営業成果が上がる。これ以上に営業冥利に尽きることはないだろう。そのためであれば、これまで営業成績だけで競い合っていた営業担当者達も、自分の顧客のためという目的をもって、他の営業担当者たちと情報共有が積極的に行われるようになる。

しかも、顧客のための情報収集として、印刷営業が関係会社に新規営業をかけるという絡め手まで使えるため、新規訪問先には事欠かず、結果として売上・取引につながらなくとも既存顧客に役立つ情報を入手・報告することが出来、顧客企業が喜ぶというおまけまでついてくるのだ。

会社の抜本的改革には、なにも経営改革といった大上段に構えた取り組みが必要なのではない。
現場の営業担当者レベルでも、発想を転換すれば、大きな改革が可能になってくる。
まさに、コペルニクス的発想の転換が、現場営業には求められているのだ。

2011年11月8日火曜日

殿様営業

昨日、会社に一本の営業電話がかかってきた。
大阪のとある業界団体への加入勧誘の営業電話である。

ちょうど一年前に、同じ電話を頂戴し、担当者が訪問してきた。
その時には、他の案件でこの業界団体とお仕事をすることになり、
会員勧誘の話は、あっという間に終わってしまった。

この営業電話の内容であるが、あきれるほど幼稚な内容だ。
ただ単純に、「〇〇〇〇」の会員にはもうなられていますか?」
「もし入っていらっしゃらなければ、いろいろとメリットがありますのでいかがですか?」
などというだけなのだ。

そもそも加入勧誘なわけだから、会費が発生するはず。
その会費に対して、どのくらいの具体的メリットが会員各社にもたらされたのか、
具体的な数値で示すことで、興味を引くことすらなかったのだ。

と同時に、この電話を受けている私の時間を浪費させているということを全く考えていないということ。少なくとも、経営者に電話をするわけだから、忙しいことは分かっているはず。
こちらは決定権者なのだから、十分刺さる情報を提供すれば、その場で加入になる可能性も高い。そんな絶好の機会をもらっているにもかかわらず、特にメリットもない話で時間を浪費させているのだ。

こうした業界団体の職員は、加入団体の繁栄のために「会費」をいただいているという意識が全くないように思う。実際、この会で過去実施したセミナー担当者も、そうした思考は全く持ち合わせていなかった。

会費を払っていただく顧客は誰なのか。何を求めているのかを真剣に考えたうえで、こうした営業電話をかけるべきではないだろうか。まさに「殿様営業」を絵にかいたような経験だった。

2011年11月7日月曜日

営業は「仕掛け」

現在、全国で524店舗も展開している「丸亀製麺」。

私はうどん県(香川県改)出身者でもあり、うどんに対しては他の讃岐人同様かなり思い入れは強いほうだ。その讃岐人をもってして、このチェーン店はなかなかの高評価である(周囲の讃岐人への調査結果も含む)。

このチェーン店舗の特筆すべき点は、うどん修行をしたわけでもない素人同然の社員・パート・アルバイトによって、比較的高水準の「うどん」が創り出される点につきる。

あるテレビ番組で、その快進撃と生産工程を知り、その標準化された美しいほどの店舗経営に、尊敬の念すら抱いた。しかし、この快進撃の裏には、ある企業が密接にかかわっていることが先日判明した。

その企業とは、香川県坂出市にある大和製作所という製麺機メーカーである。この企業こそ、運営会社トリドールに提案を行い、「丸亀製麺」を成功に導いた影の主役でもあったのだ。確かに、これまでうどん店経営に素人だったトリドールが、なぜあれほどのうどんを、あれほど効率的に提供できるのかの背景を考えるべきなのだ。

製麺機メーカーの営業を考える際、いくつかの考え方がある。当然、まずは、これまで手打ちしている全国のうどん店に製麺機を売り込むこと。また、既にライバルメーカーの製麺機を導入しているうどん店への浸食を図ることもできるだろう。しかし、この大和製作所は、トリドールに「うどん店経営」を働きかけ、結果的に524機のうどん製麺機を販売したのである。

先日、このブログで紹介した医療機器メーカーの営業担当者同様、大和製作所は、まさに需要を創りだす営業をおこなった好例であろう。これまでの営業の枠にとらわれず、大所高所から営業を考えなおせば、誰もがこうした需要創造が可能なのではないだろうか。

営業とは、単に目の前の顧客の「問題解決のお手伝い」を果たせばいいというものでもない。
自分自身が持つ経験や知識・技能を、顧客の得意分野と併せて開発する。
こうした創造的営業こそが、今後の営業担当者に求められる必須の能力ではないだろうか。

2011年11月2日水曜日

新しい取引可能性をつくりだす創造的営業

とある医療関連製品メーカーの営業担当者。
彼は今春から、新設された営業企画室本部付に抜擢された。
それはある画期的な営業方法を思いついたからだ。

通常、医療医薬関連製品メーカーの営業担当者は、卸業者などと協力して病院への製品売り込みに精進する。当然、交渉相手は病院長、医師、薬剤部など、購買決定権をもつ人たちとなる。
しかし彼はなぜかゼネコンに営業に回るという方法をとって、大きな成功を手にしたのだ。

現在、病院には、医療機能評価機構による「病院機能評価」を受け、差別化を図ろうとする動きがある。もちろん評価制度自体に、根本的な問題も多く導入自体はまだあまり進んでいないが(病院全体の3割程度)、少なくとも客観的に機能を評価され、標準をクリアした病院経営を目指している。

こうした機能を有した病院を志向すれば、当然、ハード面からのアプローチも重要となる。
そこで、この評価機構の新しいヴァージョン導入に合わせて、その建設を請け負うゼネコンを対象に、「病院機能評価」とは何か?という知恵を授け、受注活動に役立ててもらおうという手法である。

もちろん疑問もある。
たとえこのレクチャーを受けたゼネコンが晴れて案件受注を獲得したとしても、必ずしも彼が所属する医療関連製品メーカーに、設備機器一式の発注が入るわけではないじゃないかという点である。

しかし、彼はこう考えた。普通に決定権者へアプローチしていても、病院機能評価導入を促すことはできない。もし川上でその概念を理解してもらい、「予算確保」が出来れば、当然他社との競争にはなるが、この予算があるかないかでは、可能性が全く違ってくるはずだ…と。

つまり、予算さえ事前に確保されてさえいれば、あとは競争力がある製品は確実に売れると考えたのである。

営業の仕事とは、「顧客のニーズを探り、それに沿った製品を提供することである」と認識することもできる。しかし、顧客ニーズを「育てる」ことも営業の重要な仕事である。
それは単に「育てる」だけではなく、収益につながる活動として「育てる」ことこそが、これからの営業に求められる資質ではないだろうか。

この活動は、結果的に病院の評価を高め、顧客の競争力自体を向上させている。
つまり、彼は、顧客がその顧客に評価され繁栄すれば、自社もまた繁栄するという、急がば回れを実践しているのである。

こうした「創造的営業」を目指すことが、今後のトレンドになれば、営業ももっとクリエイティブな仕事だと認識してもらえるのだと思う。

2011年11月1日火曜日

あなたは顧客の声を訊いていない

バブル以降の低経済成長期における企業の成功条件の一つは「顧客志向」であろう。
この顧客志向という概念を理解することは極めて難しいし、実践することはさらに難しい。

その証左が次の数値に明確に表れている。
国内年間広告費      5兆8000億円(2010年度、電通調べ)
国内年間市場調査費      1699億円(2010年度、日本マーケティングリサーチ協会調べ)

広告費とはつまり、自社の製品・サービスを「知ってもらう」ために費やす費用である。
他方で、市場調査費とは、顧客のニーズを「知りたい」ために費やす費用である。

この両者の比率は100対3。つまり営業で例えれば、営業担当者が100しゃべって、顧客の意見はたった3しか訊いていないのである。

なかでも法人顧客に対するニーズ把握は極めて乏しく、法人(非消費者向)調査は397億円。
つまり、市場調査費のなかのたった25%程度しか費やしていないのである。

もちろん、営業担当者が張り付いて「顧客の意見を訊いている」という反論が聞こえてくるが、では実際に営業担当者の客先での行動を調査したことはあるだろうか?

一般的に、通常の営業担当者は約8割の時間を「話す」行為に費やしている。
つまり、顧客ニーズはほとんど訊かれていないのが現実なのである。

「顧客ニーズを訊く」
この方針に転換するだけで、他社との完全なる差別化が図れる機会がいま目の前に存在する。
それに向かって行動するか否かは、あなた次第だ。

2011年10月31日月曜日

会社設立記念日!!!

本日10月31日は、弊社が2007年に会社を設立して5年目の記念すべき日です。

昨日、香川県で3店舗のラーメン店を展開しておられる会社経営者の方にお会いして、お話を伺う機会を頂戴した。この方は、「私は、これまでほとんどが失敗だったが、会社をつぶさなかったことは自慢できる」と断言しておられました。

一般的に会社は、起業から1年で4割、5年で6割、10年で8割が倒産するといわれている。
事業所・企業統計調査から事実関係を分析すると、5年後の会社の残存率は70%~80%だった。
つまり、20%~30%の企業が5年間のうちに廃業することになるのだ。
そうした意味で、弊社はようやくこの7~8割の仲間入りが出来たという程度のよちよち歩きの企業である。

短期的な収益ではなく、長期的に顧客にかわいがっていただける技術・サービスを提供できるよう。
また、マーケットが抱えている不満の種を見つけ出し、解決策を提供し続けられるよう一層の努力が必要だ。

しばらく停滞していたブログによる情報提供も今日を期に再スタートを切りたい。
今後とも皆様に勉強させていただきながら、頑張ります。

2011年5月16日月曜日

あのアップル社は顧客クレームすら無視するのか

我が家ではi Padの64GB WI-FIモデルを2011年1月に購入し使用している。
当初より、WI-FI回線への接続に不具合を抱えていたが、我慢できる程度だったのでほったらかしにしていたが、ついに決定的な問題が発生した。タッチパネルが反応しなくなったのだ。

入力用デバイスであるタッチパネルが動作しないi Padは単なる黒いケースだ。そこでアップルサポートセンターに電話したのだが、このコールセンターの対応に失望した。

こちらの要求は2点。「1.機器を正常な状態に戻してほしい」「2.不具合の原因を特定し、報告してもらいたい」という点。1.の要求は要求ではなく当然のこと。毎日使用している便利な道具でもあり、至急、正常な状態で使用したいということだ。
2.の要求は、購入後半年もたたずに不具合が起こったこの現実が今後も続く可能性があるのか?という顧客の不安を払拭するためにも、かならず必要な作業であり、要求である。

しかしだ。このコールセンター担当者は、上司に確認の上、2の要求は対応できないというのだ。そこでわたしは、コールセンターで対応できないのであれば、別部署で対応いただきたいので、連絡先を教えて欲しいと伝えたところ、先に伝えた通りアップルではそうした対応はできないとの一点張りなのだ。

もちろんこのコールセンター要員は下請会社の従業員であるため、そのようなクレームに対応できる権限など与えられていない。しかも、無駄に本体に顧客クレームを転送して、本体業務を滞らしたりすれば、なんのためのコールセンター機能かわからないので、アップル本体に転送するはずはない。

であったとしても、同じような要求は当然日々の顧客クレームのなかから上がっているはずだ。つまり一度同じことを検討すれば、その対応可能・不可能を決定した経緯も含め、顧客に説明しさえすれば、ある程度納得してくれると思われるのだ。

しかしアップルにはこうした仕組みはないらしい。アップル社は画期的な商品をつくることでは世界のトップリーダーだ。でも、顧客満足度を追求する姿勢は持ち合わせてはいない。つまりプロダクトアウトの典型でもあるのだ。

スティーブジョブスが健在で、画期的な商材を発表し続けられるうちはいいだろう。しかし、目新しい商材を発表できなくなった途端、この企業はあっというまに破たんするだろう。顧客の声を聞く。その姿勢を持つか持たないかによって、「永続的」な企業発展の可能性は違ってくる。

少なくとも、私はアップル社の新製品を購入することはないだろう。
コールセンターの一従業員の対応だと思う方もいるかもしれない。しかし「一事が万事」とは言い得て妙だが、まさに協力企業も含めて、企業体質が明確に表れているのである。

2011年5月4日水曜日

優秀な営業担当と硬直化した管理部門

大震災の影響もあり、当初計画していた住宅建築着工が完全ストップ。
同時期に担当営業が退社し、新しい営業担当者の無能ぶりが引き金になって契約解除。
現在、当該企業法務部と契約内容確認、違約金割合の算定を進めている。

そもそも何故、当該住宅メーカーとの契約を白紙に戻すことになったのか。
その大きな理由は、地震で露呈した管理機能の不完全さにある。

本物件は、3月16日に着工日を控えていた。しかし大震災の影響で資材供給がストップ。当然、メーカー側は多数の案件を扱っているため、その混乱は想像に難くない。しかし、メーカー側の対応として、資材供給の確認はもちろんのこと、契約顧客への対応が不可欠である。
なぜなら、契約者には、ローン返済時期の問題や引っ越し手続きの問題など、納期が遅れることで計画変更を余儀なくされるからだ。

しかし、当該メーカーからの連絡が入ったのは、3月15日に「着工がストップします」という報告のみ。そこから2週間近くなんの音沙汰もなかった。契約書には、着工日・受渡日などに変更が生じた場合、速やかに契約書を修正し再締結を行うと規定されている。つまり企業として、この契約履行を反故にしているのだ。

もちろん、想像を超えた事態であるいうことはわかる。しかし、こうした事態に備えて準備を怠っていたという事実こそが、高額な商品を販売する企業としては、「決定的に信頼を失う」ことにつながるのだ。

ただし、ここからが本日の本題である「優秀な営業担当と硬直化した管理部門」の話である。
こうした事態が発生し、解約手続きを申し出て以降、直接の担当者として支店長が任命された。
この支店長、とにかく仕事が出来る人なのだ。

「もしも」ということはありえないが、もし彼が私の営業担当者であったなら、今回のような事態は起こっていなかったのかもしれないというくらい優秀なのだ。

彼は、本案件を本社法務部に正確に伝達している。しかしこの法務部の対応が情けない。私の主張は「契約書で同意した行為を履行していない」という点にある。だからこそ、契約書に従った解約手続きは無効であると主張している。その主張に対して、法務部の公式見解を示しなさいと。

しかし、法務部はこの主張の本質を理解できていない。そのため、結局、契約書にのっとった解約手続きのみを、当方に依頼してくるだけなのだ。そこでこの営業担当者の登場になるのだが、彼は、事の本質をクリアに理解している。

と同時に、法務部では明確な回答が得られないと仮定し、既に営業本部に妥結案を提示し、その内諾を得たうえで、当方に相談に来るのだ。つまり落とし所を明確にしたうえで、社内処理をもルートをかえながら進めているのだ。

彼の働きに対してはとても感謝しているし、同時に法務部という管理部門の無能ぶりを実感している。本来、支店長の業務はこうしたクレーム処理ではない。法務部が実務部隊として機能するならば、私に連絡してくるのは「法務部」であるはずなのだ。

ここで妥結点を図る。あるいは妥結点が当事者同士で測れないのであれば、専門家(代理人)をたて、法的に協議すればいいのだ。しかし実際には、支店長が八面六臂の活躍をみせ、当該案件の処理にあたっており、法務部はほんのわずかも役に立っていないのだ。

私の主な業務は、市場調査であり、営業コンサルである。こうした立場から、様々な企業組織を拝見させてもらう機会が多いが、属人的な組織ほど顧客満足度が低く、企業として、組織体として、システムとして機能している組織ほど顧客満足度は高いのだ。

本来、企業組織の研究分野として「経営学」が存立している。しかし、会社システムをどのように構築し、運営すべきかといった重要な課題をスーパー経営者の「属人的能力」に任せてきたのではないだろうか。現場は、マネージャーは、経営者は、それぞれの立場でどう有機的に「組織」を構築していくべきなのか、この総合体系的な「学問」を構築する時期に来ているのかもしれない。

私はその解決を「営業学」に求めるべきだとも考えている。そろそろ「営業学」という学問を、この手で具体的に体系化していきたいとも。

2011年4月30日土曜日

電車運賃の不思議

先日、名古屋にて電車運賃の不思議について考えた。
私にとって名古屋は未知の領域である。
公的・私的を併せても4回くらいしか足を踏み入れたことが無い地域である。
当然、地名だけ聞いてもそこがどこに位置するのか、移動にどの程度かかるのか全く想像できない。

その日は、友人と待ち合わせをしていた。
彼の勤務終了後に合流しようと、場所も時間も明確には決めていなかった。
私の移動中に彼からメールがあり、「矢場町」で待ち合わせしたいとの連絡。
私は、JR新守山駅から名古屋駅に移動中でしたが、もっとも効率的な移動方法は、金山駅で下車し、地下鉄に乗り換えることだ。

普段、関西圏で移動している私は「するっと関西」や「地下鉄回数券」を利用しているため、乗車券を都度購入することはない。そのため、急な連絡による行先変更において、なんら疑問を感じる余地はなかったのだが、この時はた時がついた。「乗越精算はあっても、払い戻しはない」という事実に。

つまり電鉄会社側は、遠くに行き先を変更した際には料金請求を怠らないが、当初目的地から近場に行き先を変更した際には、過剰料金を徴収するのである。

駅員に確認しても払い戻しはしないとのこと。
切符を買った段階で気づかない限り、払い戻しはしないというのだ。
しかしこの論理おかしくないだろうか?
顧客の都合で行き先を変えた結果、当初目的より遠距離であれば請求されるが、近距離だと払い戻しはしないというこの論理。法的に問題はないのだろうか。

そこで調べてみると「規則」にて、切符購入と同時に「旅客運送契約を結んだものとみなす(旅客営業規則第5条|JR東日本旅客鉄道参照)」というのだ。
そこで近距離切符が払い戻しできない理由について、「利用者の便利と事業者の能率的な遂行を図ることを目的とする」と規定しているのだ。

この事由をもって、先の問題を規定しているつもりだとしたら片腹痛い。
もし事業者の能率的な遂行を図るために、変更にいちいち対応できないとするのであれば、遠距離への変更(乗り越し精算)も、この規定に従って拒否するべきなのだ。

もっともらしく「規則」などと定めておきながら、なんら合理的説明が出来ない。もしこれを回避するためにスイカやイコカ、あるいはするっと関西が存在するなどと申し開きしても、それはサービスの等価性を担保出来ていない時点で失格である。

なぜこんな簡単なことを「前例」に従うだけで続けていけるのだろうか?
前例否定のできない組織である「電鉄会社」の古い体質が、今後のビジネス環境をどう乗り切っていくのか、興味を持って観察したい。

2011年4月26日火曜日

武蔵大学海外研修(社会調査法基礎講座)

2011年4月23日(土)9:00~15:00。武蔵大学の海外研修生に向けた社会調査法に関する基礎講座の講師を務めてきた。

この海外研修、大学が各自に30万円を給付し、彼らが自分達で立案した調査企画を、最低30日間以上、海外で実施してくることを課題に課した研修である。

様々な学部学生が参加するため、社会調査に関する基礎的な知識を身につける必要がある。そこでこの講座が開催されるのだ。

今年度の参加者は6名、少数精鋭といった感じだ。彼らの興味は実に様々。水不足に関する興味から、韓国の学歴問題、対人関係に文学比較とバラエティに富んでいる。しかし、彼らに調査知識を理解してもらい、かつ、これらヴァラエティに富んだ課題解決に向けた調査企画にまでつなげることは容易ではない。

かつて桃山学院大学で社会調査実習を担当したが、この基礎的な調査知識を体得したであろう学生たちが参加したにもかかわらず、課題と調査が結びつくのに実に1年間もかかるのだ。つまりそれほど、企画を立て、実際に調査し、報告書を作成するという作業は訓練が必要なのだ。

もちろん、私もプロである。6時間で彼らに最低限必要な知識を授けることは可能だ。
ただし、知識を身につけても「実際に使える」状態にするのはとても難しい。

しかし、喜ばしいことに、この講義が終わった時に、ぜひまた課題を見てもらいたいと、学生から要望されたのだ。つまり知識だけに終わらせず、なんとか技術を身につけたいと学生たちがやる気になってくれたのだ。

彼らは東京の学生である。弊社は大阪にある。物理的な距離があっても、彼らの海外研修が終わるまで全力でサポートしたいと思わせる「やる気」が彼らにはある。

彼らを見ながら私も反省した。もっとやる気をもっていろいろと貪欲に学んでいこうと。人は学びたいと思った人には、最大限のサポートをしたいと思うものだ。なにしろ自分の知識や技術が人の役に立つのだから。

2011年4月21日木曜日

東北大震災。自分たちは何をすべきなのか?

昨晩、地元で定期的に開催される異業種交流会に参加してきた。
この会は約20年間続いている息の長い交流会であり、地域で企業経営に携わる様々な方が参加しておられる。昨晩の例会は、地域電鉄会社が保有する大正14年製のレトロ電車での花見だった。

この花見にはゲストが招かれていた。
東北福祉大学をこの3月に卒業し、4月から働き始めたフレッシャーズだ。彼らは実は今回の大震災の被災者でもある。実はプロゴルファーの卵たちであり、とてもさわやかな青年たちだった。

彼らに刺激を受けたのか、私は隣に座ったM氏と、自分たちはいったい何が出来るのか真剣に議論した。M氏は30歳に突入したところ。とにかく自分たちの親世代が作ったこの社会は、彼らが得するように出来ている。政治もそう。だからどうしようもない。というのだ。

私は反論した。彼らがつくった社会が気に食わないなら何故変えないのか?いくら考えても、行動しなければ現実は変わらない。文句ばかり言ってないで行動すべきだ…と。

社会ではまだまだ中間層として認知されだす30歳、40歳代。しかしこうした立場に甘んじていることこそが問題なのかもしれない。この未曾有の大震災は、まさに日本の危機である。世界の経済基盤を支えていた日本を「素通り」するための動きが加速しだしている今、私たちの世代は第二次世界大戦後の日本人と同じく、資源も信頼もお金もエネルギーすらもない世界から、再度「日本」を作りなおしていかなければならないのだ。

昨年自民党から民主党に政権が変わったとき、無血革命がおこったと。社会の変化に期待した。しかし現実はそう甘くはなかった。民主党政権はいわば昨晩のM氏と同じである。批判力はあっても実行力が完全に欠如していたのだ。

私たちが出来ること。それは何も消費することでも倹約することでもない。そんなところに本当の震災復興などあり得ない。日本の力の3分の1が捥がれてしまったのだ。そのためには、自分たちが毎日励んでいる仕事を「海外」に売りに行くことが必要なのではないだろうか。

戦後復興を果たした日本は、海外から資源を輸入し、加工し、輸出したことで奇跡的な回復を果たしたと言葉で書けば簡単に語ることが出来る。しかし、敗戦国である日本の「円」など誰が信用したのだろうか。その信用のない通貨を使って、どれほど苦労をしながら資源を買い付けたのだろうか。そして信頼を得るためにどれだけ自分たちの技術を磨いたのだろうか。

この震災を機に、私自身も自分の技術を、どうにかして「海外」に売っていかなければならない。そうしなければ、新しい仕事など作れない。東北で何もかもなくした人たちが生活を復興するためには、生活の基盤である「仕事」こそが必要なのだ。その仕事を創り出すことこそが、私たちに「今」出来ることなのではないだろうか。

被災者以外の全日本人が「仕事を創る」ことに全力を傾けることが出来れば、日本は本当に買われると思う。それこそが本当の「革命」なのかもしれない。

2011年4月13日水曜日

戦略が机上の空論にならないために

ある商品・サービスをマーケットに投入する。その際にはまず、ターゲットは誰なのか、そのターゲットにどのように届けるべきか、届けるためのリソースにはどんなものがあるのかについて考えなければならない。 大企業では、比較的その工程が経験的に蓄積されており、また代理店などを用いて機動的に展開されることが多い。しかし小規模企業の場合、こうした経験の欠如から戦略そのものが対処療法的かつ机上の空論になる可能性が極めて高い。 この対応において最も重要だと思われるのは、まず100を知ることだと思う。市場・ターゲット・リソースの100、つまり全体集合がなにかを知ることである。 広報宣伝にかける費用・人員というリソースを知らなければ、いくら効果的な広報手段があろうとも実際に展開することなど不可能である。リソースの100(全体像)を押さえてさえいれば優先順位をつけることができる。大切なことは、出来ないことがわかるということでもある。全体像を知っていれば余計なことを考えなくなる。つまり決定事項に集中することが可能になるのだ。 市場を見積もるということは、どこかで雲をもつかむような作業であり、現実感が失いがちだ。しかし、そこに投入する資源(リソース)は、どんなに大きな市場であろうが小さい市場であろうが関係ない。ある範囲でしか投入できないし、ないものはないのである。あとはその資源をどう有効に活用するのか、それしかないのだ。 と同時に重要なのは、決めたことを愚直に実践することだ。目の前の顧客の反応を見ながら対処療法的に対応していると、結局成功しても失敗しても、なにが「要因」だったのか総括することが出来ない。つまり、より成功を追求することも、失敗を回避することも出来なくなるのである。 いったん計画した戦略はむやみやたらに変更しない。戦略がぐらつくと誰もついてこなくなる。顧客、従業員、協力者しかり。その覚悟こそが小規模企業に重要な行動規範なのだ。

2011年4月9日土曜日

営業は会社の体現者であるという自覚

某ハウスメーカーで賃貸住宅建築を進行中、今回の東北大震災が発生。資材供給が寸断され、着工目前だった物件にストップがかかった。これ自体は天災であり誰にも文句は言えない。東北の皆様の苦労を思うと当然資材供給は東北優先にすべきである。これもまた自分が出来ることのひとつであろう。 ただし、ハウスメーカー自体は資材供給が滞ったことを理由に、全ての作業をストップしていいわけではない。顧客とは売買契約を締結しており、その契約条項に修正が生じているわけだから、再度、施主への現状報告とともに現在供給できる資材での代替案を提案する。あるいは着工・施工期間を仕切りなおすなど顧客の不安をやわらげながら、将来的なゴールをイメージさせることが業務である。 ところがである。残念ながら私の担当者はこうした対応が出来ないでいる。というより某ハウスメーカー自体の対応が最悪である。このような大災害だから弊社には落ち度はない。だから例え外壁の色が変わるくらいいいじゃないですか…などと全く意味のわからない論理を展開してくるのである。 会社はひとつの有機的なシステムだ。どの担当者が何をするのか。問題が発生した際の優先順位は何か。会社がバックアップすべき情報とは何か。これらが有機的に機能することで、日々の営業が進められているはず。しかしこの社では、契約条項に記載された事項すら順守できず、しかもそれに関するクレームを申し立てているにもかかわらず役職者から詫びひとつ発せられないのである。 営業担当者は、会社を代表している存在である。その存在が顧客に相対したとき、どのような対応をとるかで今後の会社のイメージが全て決定される。今日の対応が、私がこのハウスメーカーに対して持つイメージを決定づけたといっても過言ではない。 企業にとって、こうした「非常時」の動きはとても重要である。非常時に機能する組織体を構築するべく企業活動は展開されなければならないと、自分にも言い聞かせる良い機会である。

2011年4月3日日曜日

関東の日常を「会話」のなかから考える

休日にもかかわらずドトールで仕事してます。 たまたまお隣に東京汐留にある某大手代理店社員5名が座っており、彼らの会話が聞こえてきました。最近、汐留に丸亀製麺なるうどん屋が進出。そしてそれがとても人気で、どうやら店舗展開や広報などに知り合いの〇通社員が携わっているとのこと。一人の女性が、「私、丸亀製麺の同グループの焼鳥部門(トリドール)が好きなんですけど、そっちを東京に持ってくるようにいってくれませんか?」などと軽くお願い口調。話をしていた社員は「そうなんだ。じゃあ社長一緒に話したことあるから、こんど言っといてみるよ」と軽いノリ。 そして話題は東京の放射能汚染にシフトし、洗濯物は外では干さないよ。とか、そうはいっても広島原爆落ちてもみんな生きてるじゃん…などと不謹慎な話も。しかし、このあたりが関東に住まわれている人たちの現実の悩みや不安であろう。 結局、何が安心か、何が信頼できるソースなのかがわからないなかで、現実的な判断を下さないといけない。情報を信用できないのは、情報産業の真っただ中、その頂点に存在する〇通の社員であっても同じことなのだ。それほど現在流布している情報は信頼度に欠けているのだろう。 弊社大阪オフィスフロアには、東京から海外のブランチオフィスが数多く引っ越してきた。いまは外国人であふれかえっている。それだけ外国企業も大使館も、最大限の危機を想定し対応しているのだ。他方、私の友人たちは4月1日から3名も東京に家族を連れて転勤していった。日本企業と日本政府の危機対応能力の現実を、まざまざと見せつけられている。 もちろん、業務効率や継続性を考えると当初計画を変更することには大きなストレスがかかる。しかし、企業活動は人間活動でもあり、社員や家族は〇通社員と同じく不安を感じながら日々生活しているのだ。そうした環境の中で、彼らは本当にレベルの高い仕事を提供することが出来るのだろうか。 「日本は強い」「日本を信じてる」と、CMではがんばれ日本と叫んでいる。でもどう頑張るのか。今何をすべきなのか。具体的な方法を本気で語るCMなど存在しない。私たちは今、自分の頭で考えなければいけない時なのだ。結局、自分や家族を守れるのは自分たちだけなのだから。

2011年4月1日金曜日

新年度は新たな行動計画立案ではなく、自分自身の実力棚卸に使おう

今日は2011年4月1日。 新年度が始まりました。街には「新」が溢れています。新入社員の着慣れないスーツや転勤してきたばかりの不安そうな顔、新しい役職で気合いの入った人たち。 この「新」が溢れる4月1日、私自身がやるべきこはいったい何だろうか考えてみました。それは「今年度」をどうするかではなく、「今」自分は何が出来て、何が出来ないかをしっかり整理することではないかと考えます。 本日は、多くの会社で新年度の目標が発表される日もあります。多くの人が、この提示された目標に向けて、具体的な行動計画を立案し始める日でもあります。 目標達成のための行動計画とは、実は未来の計画策定ではありません。その計画を達成するために、自分自身の動きや時間の使い方、部下や上司との連携、必要な顧客動向情報など、現時点において「不十分」である事実を正確に捉え直すことこそが必要なのです。 ではなぜ、目標達成のための計画策定ではなく、現時点で「不十分」である事実を捉えなおすことが必要なのか?それは、事前準備こそが、目標達成のための全てだからです。 料理に例えるとわかりやすいかもしれません。目標とは、最終的につくる予定の「献立」です。この献立と食べる人数が決まれば、当然材料の種類や量も決まります。しかも食べる時間が決まれば、その時間に合わせてどういった手順を踏むべきかも決まってきます。その結果、足りない材料・調味料(リソース)が分かり、どこでいつまでに仕入れるべきかも見えてくるのです。 この現状分析こそが、今年度の目標を達成するために必要な作業なのです。つまり、目標達成のために、いま不十分である事実はなにか?を正確に捉えなおすことこそが、目標達成のために不可欠な行動なのです。 私自身、「目標設定」と「不十分な事実」を捉えなおすことに注力したいと思います。

2011年3月31日木曜日

ビジネス街のイチゴ屋さん(差別化戦略)

弊社は大阪市中央区の本町にオフィスがあります。地下鉄御堂筋線本町駅を降りると、いつも街頭でいちごを売っているおじさんがいます。このお店、結構売れてます。その秘訣は何か考えてみました。 売れる秘訣として考えられるのは「差別化戦略」と「時間戦略」ではないでしょうか。いちごが売られているのは、スーパーか果物屋かイチゴ農家でしょう。私たちが購入する場所として、通常はスーパーでしょう。スーパーでの一品あたりの購買単価とはどのくらいでしょうか?キャベツ120円、豆腐80円と、多くの商材が100~300円周辺の価格帯です。 他方、いちごはどうでしょう。1パック298円~とスーパーのその他商品に比べると高価格帯に位置していると感じます。ところが、本町という場所でいちごを販売した場合、比較する商品はランチ600~700円でしょうか。つまり同じ価格でも「低価格」だと認知させることが出来るのです。つまり他の商品との対比感覚を利用して、差別化してしまっているのです。 もうひとつは「時間戦略」ではないでしょうか。人間には一日の大まかな行動サイクルがあります。朝起きて、会社に行って、仕事して、会社帰りに買い物して、帰宅する。この中で「買い物行動」は、会社帰りのタイミング、そして場所は自宅近くでしょう。その会社帰り前に、他のスーパーに先んじて「いちご」を買わせてしまうのです。 しかも「いちご」だけを山のように陳列しているので、顧客は多くの選択肢の中から選べますし、店に興味を持った時点で、既に「買う」ことは既定の事実なのです。 もちろん、これはいちごという商品には適切な戦略ですが、どんな食品にも当てはまるわけではありません。オフィス街に合致する価格帯の商材であれば、結構展開できるのではないでしょうか。 ただのいちごやのおじさんと油断してはいけません。このおじさんかなりやり手です。

2011年3月18日金曜日

情報は誰のためのものか(東北大地震の報道を考える)

東北地方太平洋沖地震の被災者の皆様、そしてそのご家族と関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。そして、被災地にて救援に尽力いただいております自衛隊、警察、消防、自治体関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

地震発生から一週間、私自身が出来ること考え続けています。まず個人としては義援金を。そして居住地の市営・県営住宅の無償提供について、自治体・政治家に働きかけを行っています。一歩進んで、地元地域に7万件も存在する空き家の開放が出来ないかも模索中です。もちろん一時的ではなく、被災者の皆様が本当の意味で安心を取り戻すまで、考え行動し続けたいと思います。

さて本日3月18日、武田邦彦中部大学教授(内閣府原子力委員会専門委員、同安全委員会専門委員)のブログを読み、危機的状況下での「情報」の伝え方について強く考え、ぜひここで記録・記憶しておきたいと思い記述いたします。

武田氏のブログには、放射線の健康被害の影響について、「福島に住む赤ちゃんを持つ親御さん」の立場で現状が分析され、今後の対応についての結論が記述されています。専門家の知見を、福島に住む普通の親御さんが最も欲する「情報」に加工して提供しているのです。

このブログを読んで、私はこの一週間、テレビと新聞で報道されている「情報」が、単なる伝える側の論理、そして報道に携わる人間が「国民の知る権利」という錦の御旗を振りかざし、ただただ情報をよこせと収奪し垂れ流しているだけの意味のない記号だということに気づきました。

本来報道機関は、こうした危機的状況において公的役割を担う重要な立場にあります。しかし実際にそこから伝えられる「情報」は、単なる衝撃的な「絵」にすぎず、政府のプロパガンダのようでもあります。「何が一番必要ですか?」と無神経に尋ね、「被ばく量は通常の100倍程度で、健康に影響はありません、などと繰り返す毎日。

情報を欲している人たちが誰なのかも明確に定義せず、ただ集め、ただ垂れ流しているのです。もし私自分が家族と別離した被災者だったら、家族がどこにいるのかがもっとも知りたい「情報」です。いまミルクが足りない赤ちゃんを抱えて避難しているならミルクがどこにあるかを知りたい。福島原発の30㌔以内に住んでいるなら、家族に対する被爆の危険性や避難先の情報こそを欲するはず。

つまり「情報」とは、それを必要とする人たちを具体的に想定出来て初めて「情報」たり得るのです。
残念ながら報道機関の皆様はこうした「情報」を扱っているとは思えません。私が見る限りソーシャルネットワーク(ツイッター、ブログ、フェイスブック)を使っている一般人こそが「情報」の意味を理解し、本来届けなければならない人たちに必要な「情報」を届けようと努力されています。

いまこそ報道機関は、様々な「情報」を欲する方々の立場に立って、お互いが分業し、情報を収集・加工・伝えるべきではないでしょうか。そうでなければ報道機関などという看板を下ろすべきだ。
「情報」は誰のためのものなのか。まさに自分がその立場たって考えれば、おのずと答えは出るはず。そこここの国民だれもが、普通に考えて行動していることこそが、「情報」を扱うべき人たちに欠けているものであることを自覚してほしい。

しかし同時に、私たちはこうした道具(ソーシャルネットワーク)を手に入れたこの時代に感謝すべきなのかもしれない。政治家や報道機関が、これまでの現実をひきずりながら行動している様を横目に、本当の現実を生きることができるのだから。

だからこそ、支援の手を緩めないようにしましょう。だからこそ、一生懸命「情報」を集め、顔が見えるあの人達に、その「情報」を届けましょう。

中小機構主催で「『次の一手』は顧客が教えてくれる」セミナーを開催いたしました

3月16日午後3時より、中小企業基盤整備機構近畿支部にて『「次の一手」は顧客が教えてくれる』というタイトルで、セミナーを開催させていただきました。中小機構関係者の皆様、そして企画を提案くださったファーストサーバ関係者の皆様、ありがとうございました。

企業の大小を問わず、「現場が短期の数字づくりに追われて疲弊してしまっている」「業績向上を図りたいがやるべきことが多く、何から着手すべきかわからない」という悩みは共通しています。

そんな現状に対して、マネジメント手法や営業手法に対する様々な解決策が提示されています。ここ数年は「見える化」「仕組化」「ファンクショナルアプローチ」や「行動科学」など、より科学的でロジカルな視点が中心にあります。

こうした解決策は、何かひとつを導入すれば直ぐに業績が改善するというものではありません。目のつけどころだったり、考え方のフレームだったり、行動規範だったり、使う人の立場によって、また課題によって取捨選択が必要になります。しかも、それは繰り返し修正を加えながら「カイゼン」し続けることが重要でもあります。

今回のセミナーでは、企業活動の中における「営業部門」を念頭に、社内に存在するデータをどう活用するか?あるいはないデータを如何に収集するか?肝になるデータは社内ではなく顧客側にこそ存在するという視点とノウハウを提供させていただきました。

行動を開始するには、「全体像をつかみ」「問題点を把握」「問題解決のための有効な手段を特定」することが必要です。セミナーでは、このステップを適切に踏んでいけるノウハウを提供できたと自負しております。

もちろん、このノウハウも繰り返し修正し続けるためには、平易でかつ安価という条件を抜きにしては語れません。エクセルやインタビュー手法はどの会社でも追加投資することなく始めることが出来る有効なツール(道具)だと考えます。

これらの考え方や道具を用いていただき、日々の仕事を楽しくかつ効果的に進めていってほしいと切に願っております。

2011年3月13日日曜日

住宅建築とマーケティング

持家住宅建築費用の平均額は3849.8万円(住宅金融支援機構「平成18年度フラット35利用者調査報告」)である。この費用を、生涯所得2~3億円のサラリーマンが支出出来るのは1度きりであろう。つまり、その1度だけの販売機会をどの住宅メーカーが刈り取るのかが、ハウスメーカーの今後を決定するといっても過言ではないだろう。

現在、住宅建築市場は低価格企画住宅販売のタマホーム・レオハウスの台頭著しく、大手ハウスメーカー(積水ハウス、大和ハウス)はこの一度きりの販売機会を奪われ続けている。そもそもターゲット層自体を高所得者層に絞っていることが、こうした事態を招いている。

持家戸建のマーケットは、2007年以降縮小傾向にある。将来的にはよりこの傾向は続くはずだ。ハウスメーカーはこの縮小するマーケットにおいて、いかにシェアを上げ、収益率を高めていくかが課題となる。早めに安い価格で住宅を建築してもらい、リフォームで長く使ってもらう。このサイクルをうまく作り上げたメーカーが、今後の市場を席巻する。

昨日、賃貸住宅管理会社の営業担当者と話をする機会があった。彼は、こうした大手ハウスメーカーの営業戦略の弱さを指摘していた。つまり現場にはその課題が見えているのだ。しかし、肝心の住宅マーカーはその事態に気づいていても対応出来ていない。

企業規模が大きくなると、現場の声が経営層に届きにくくなる。だからこそ、顧客の声を反映できる新興企業が台頭できるのだ。これこそが、成長と収益を確保できる証左なのだ。

本来、新興企業は既存顧客を抱えていないため、貴重な顧客の声を聞くことはできない。そうした意味において大企業・伝統企業こそが、将来的な収益を上げる機会を多く保持しているのだ。しかし、この有効な機会を十分に気づかず、活かすこともできないために、新興企業の対応と許してしまうのである。

現場の営業担当者の声、顧客の声を真摯に訊くことこそが、将来の成長と収益を担保できる唯一の方法である。

2011年3月2日水曜日

売上向上のヒントはいつも顧客が提供してくれる

昨日発売のAERA。JR東日本の山形新幹線つばさでイチバンの社内販売員茂木さんの記事に注目。

1台のワゴンに積める商品はおよそ10万円。東京山形間1往復で売り切る額に相当するらしいが、彼女はその5倍の50万円を売り上げたらしい。

その武器は、方言とバック販売?らしい。ある日ついうっかり出てしまった山形弁。「コーヒーはあったかいのど、つったいの、どっちがいいべ?」が社内の空気を和ませた。ワイごンを後ろ向きに引いて歩くバック販売は、自分の脇を通り過ぎるまでワゴンに気づかず、買いそびれた乗客を逃がさない。網棚にお土産らしき袋がなければ「提案」のチャンスでもあるらしい。

こうした顧客からヒントを常に見つけようとする姿勢と、それを言語化できるまでに昇華した努力。「顧客」視点に立つことで、販売の機会を捉えられることや顧客の不を解消してあげることが出来る。仕事をしていて最高の瞬間だ。

2011年2月27日日曜日

経営者から学ぶ構想力と実行力

昨日、取引先様に御紹介いただき、甲南大学ポートアイランドキャンパスにて開催された関西ネットワークシステム大会に初参加。44名ものプレゼンターがそれぞれの活動について分科会で報告を行い、懇親会でネットワーク構築を促すという流れ。

この懇親会で、奈良の不動産会社経営者様と名刺交換が出来、いろいろと魅力的な話を伺うことが出来た。この方は、ある京都の有名な「庭」を再生し販売したのだが、そのプロジェクトがとても壮大。

彼の話の要諦は、大きなゴールを描き、常識にとらわれないステップを設定し実行するという、クリエイティブかつ泥臭い「構想力」と「実行力」が重要だということ。

最終的にはオラクルCEOのラリー・エリソンに購入してもらったが、当初の販売先はスピルバーグだったという事実や、その販売をオークションのクリスティーズに担当してもらうため、ある企業に代理店を設立してもらったなどなど。

3年ほどを要したプロジェクトではあるが、そのプロセスはとても大胆。こうした案件が持ち込まれても、解決方法は常識的になりがちだ。しかも、いくら壮大な構想を描けても、それを実行することこそが困難を極めるはず。その両方を併せもつ経営者がこんな身近にいるという事実は驚きだった。

さて自分自身も、常にこの二つの力に挑戦し獲得していこう。そう強く思えた会合だった。

2011年2月26日土曜日

ごはんの販売をマーケティング視点で考える

昨日、異業種交流の勉強会に参加。くりや株式会社の徳永社長様が講師となり、お米に関する様々な話をお聞きした。

最後の質疑応答で、参加者のひとりから、どうやってお米を拡販していくかについての展望を尋ねられた際、徳永氏は、お米の味がどうこうではなく、お米という文化を伝道していきたいと語っておられた。

私自身米を食べる機会はめっきり減っている。これは何も私個人だけでなく、日本人全般の傾向でもある。久米宏経済スペシャル「新ニッポン人の食卓」では、アサツーディーケーの岩村氏の研究結果が特集され、食卓がえさ場と化している実態や親世代から子世代に継承されない食文化の現状が描かれていた。

つまり、米を食べる機会が減った原因を探らなければ、販売する側がいくら努力しようとも、それが普及しない現状が存在しているはずなのである。

販売・セールスの方法を考える場合、常識的には商品・製品・サービスといった販売側の思考からスタートすることが多い。しかし、そもそも何故売上が低迷しているのかを根本的に明らかにするためには、何故消費が減ったのか。過去から比べてどのような変化があったのか。という事実を押さえる必要が不可欠だ。この情報が無い限り、次の手は打ちようがないからだ。

家庭における「食文化」が変化している現代社会において、「米」を使った新しいソリューションを開発することができれば、その販売数量の飛躍的増加は決して夢物語ではないはずだ。そのためには、家庭の食文化を知ることから始める必要があるだろう。

2011年2月25日金曜日

佐賀県警で統計偽装が発覚。あなたは統計数字を疑っているか。

本日の朝日新聞に「警察の統計偽装」と題して、佐賀県警の統計数値偽装が取り上げられていた。事故を減らすよう本部長から指示されながら、結果がでなかった当時の交通部長が全署に指示して始めたというのだ。

公的統計は、学術的にも民間事業でも利用頻度・価値ともに高いデータのひとつである。このデータの信頼性を失墜させる意味でも重大な事案だ。

実は、こうした事実を民間企業の経営者も他人事にすることはできない。何故なら、経営計画や企画を立案する際に依存している実に多くのデータ(財務・売上・営業・顧客データ)が、どのように形成されるかについてあまりにも無防備だからだ。

アンケートデータひとつ取っても、その収集方法や回収率、設問分の設計方法、コード化といった様々な段階で科学性からかけ離れた「制作者の意図」が紛れ込む余地が介在しているからだ。「数字は嘘をつかない」という前提は、収集段階からかかわった場合のみ適応されるもの。この事実を、経営者あるいは企画立案者は十分に理解する必要があるだろう。

「数字」をもとに、経営計画や新規事業施策を立案したとしても、その数値自体が作られたものだとすると、全てが砂上の楼閣と化してしまうのだ。この記事はその事実の一端を垣間見せてくれる。

セミナー顧客満足度の高め方

先日、商工会議所にて営業講座を開催した。この講座、商工会議所からの持ち込み企画。お互い初めての取り組みで手探り状態のなか実施したが、結果的には成功だった。

この成功という判断。講師である私からみたもの。判断材料はアンケートとコンバージョン率。満足度比率が83.3%、コンバージョン率も33.3%という結果だった。

しかし講座担当者の結果判断は若干異なっていた。その判断材料は同じくアンケート。彼女は、不満足度16.6%が10.0%を切らないと成功とはいえないというのだ。

価値判断とは個人によって大きく異なる。それは、その価値をどの基準で判断するかによっての違いでもある。講座反省会で彼女の上司と話をしたときに、その価値判断基準を聞いて、この結果を導き出したことに、ある意味納得した。つまり、講座担当者として、満足度の数値こそが彼女の評価基準でもあるというのだ。

しかし、この上司の方は至極まっとうな考えの持ち主。つまりセミナーや講座の目的は、受講者の満足度にあるわけではなく、実際にその開講講座が受講者の仕事の役に立ったかどうかが重要であると考えているのだ。この基準は私の考えとも合致する。いくら、受講者が「満足した」と答えたとしても、それが役に立たなければどうしようもないのだ。

話術のうまさや、雰囲気の力は大きい。瞬間的な満足度を高めるノウハウなどは山のように存在する。しかし、本当に企画担当者が確認すべきは、本当に受講者が会社に持ち帰って、そのノウハウを使えて役立ったのかの一点にこそある。なぜならそのためにこそ、受講者は高い受講料を払って参加してくれているのだから。。。

2011年2月24日木曜日

三菱UFJ信託銀行に見る顧客対応のまずさ

本日、父の定期預金満期手続きで銀行に赴く。10分ほど待たされた後、本人がブースに呼ばれて5分ほどしてお呼びがかかった。何やらトラブルが発生。

状況を確認すると、本人確認書類を持参していないので手続きが出来ないので出直してくれといわれたとのこと。通帳と印鑑だけでは満期の手続きさえも出来ないようだ。本人は足が悪いので、わざわざ私が動ける日を選んで出向いているため出直すことは難しい、出来れば自宅に来てもらえないかと頼んだのだが断られたというのだ。かなり怒り心頭の様子。「自分の金なのに、なんで引き出すのにこんなに苦労せなあかんねや」

確かに父の言い分は正しい。前日に電話で「通帳と印鑑をお忘れなく」と連絡をくれたとき、なぜひところ「本人確認書類も」と言わなかったのか。しかも窓口担当者は、本人確認書類はクレジットカードでもいいというのだが、そもそも通帳と印鑑ではだめで、どうしてクレジットカードがあれば確認出来るという論理展開になるのかも理解できない。

そこで決裁権のある支店長を呼んでくださいとお願いすると営業課長が出てきた。何を言うかと思うと、やはり確認書類がないと手続きが出来ないというばかり。つまり担当者レベルと同じ話の繰り返しなのだ。銀行クラスの大組織になると、規定に縛られるのは当然だ。ルールがなければ巨大組織を運営することなど出来ない。

しかし、最後に次長が登場し、役職レベルごとに確認する書類のレベルが違うなどという内情を聞かされると、ただただあきれてしまう。つまり三菱UFJ信託銀行では、役職に応じて運用ルールが違うというのだ。

まずは自分たちのルールに従えと。もしゴネたら上席の権限で、ある程度弾力的に対応するよと言っているのだ。しかし、こちらは三菱UFJ信託銀行と取引しているのであって、担当者の役職など知る由もない。応対者の当たりはずれで対応が異なってくるとは、商売のイロハすらわかっていないのだ。

そもそも文句を言って気持ちが良くなる顧客など一人もいない。もちろん、文句を言われて気持ちが良くなる担当者も一人もいない。であるならば、解決のための方策を考えることが重要であって、社内ルールを強弁して顧客の気持ちを逆なですることにどれほどの意味があるのだろうか。

少なくとも、私の家族はこの銀行と終生取引をすることはないだろう。次回訪問時には口座解約手続きを粛々と進めるのみだ。しかし、この銀行で働いている人たちは、この事実を真剣に捉える必要がある。「私たちのサービスは誰のためにあるのか」ということを。言葉だけで「顧客のため」などというのはいくらでも言える。しかし、本当に「顧客のため」に働くということは、会社のルールを顧客満足を高められるようにするために日々修正していく努力を積み重ねることだけなのだ。

自社のルールを顧客に押し付けるような企業には未来はない。自社のルールを顧客に合わせて柔軟に変更していける企業こそが、次代に勝ち残る企業になるのだ。

2011年2月21日月曜日

ネット社会の到来と電子書籍

先日、全米第二位の書店チェーンが倒産した。アマゾンや電子書籍の営業で書店での販売が難しくなったようだ。ネットの営業でCDが売れなくなり、DVDレンタルが伸びなくなっている。良い悪いは別にして、大きな流れとしてネット社会の加速は止めることはできないようだ。

しかし他方で、本当に今後、日本国内で電子書籍がメジャーになり、アメリカのように書店が倒産するという事態が想定できるのか。私自身は、電子書籍は普及しないだろうと考えている。

音楽はCDだろうが、テープだろうが、最終的に「音」に変換されているものを聴いているため、その過程、つまりアナログよりデジタル、CDよりネットと、より便利な方向に進行していったことは理解できる。

しかし「活字」を読むことが便利になることが紙の「本」以上にありうるだろうか。キンドルのように「本」を読むことに特化したデバイスではなく、i padやgarapagosのようなネット端末としてのデバイスが主流であり、読みやすい環境ともいえない。

また広大な国土に効率的に届ける流通機構がないアメリカでの電子書籍と、日本国内のようにきめ細やかな流通機構が整っているなかでの電子書籍では全く意味が違う。もちろんアマゾンのように、近くの本屋では入手できない本を購入したいという欲求を満たすための機能は欠かすことが出来ないが、そのネット活用とコンテンツ配信におけるネット活用(電子書籍)とでは根本的に違う。

各企業がこぞって電子書籍に突き進む今、以外にこたえはシンプルな形なのかもしれない。例えばこれほどプリンターが発達・普及しているのだから、コンテンツはネット配信、印刷は自宅でという形態も考えられなくもない。

本は音と違って、一度読んでしまえば、後は何度も読み返すことはない。
つまり、なんども同じ文庫本サイズの紙の上に、違うコンテンツを重ねて印刷していければ、何もデバイスを買い替える必要もないし、持ち歩く必要もない。読みたい本を1冊持ち歩けばいいだけなのだから。本好きな僕としてはそんなソリューションもありかも。

2011年2月20日日曜日

業務効率化は直接売上・利益増に結びついてくる

どんな業界にも、業界独自のルールや専門用語があります。
本日は、賃貸住宅プロジェクトでハウスメーカーの営業担当者及び工事担当者との打ち合わせ。この打ち合わせで、業界独自ルールの課題を2点ほど発見することが出来た。

ひとつは工事担当者の使う「専門用語」と、顧客が使う「用語」との乖離である。もうひとつは、住宅建築では必ず必要な外壁・内装・設備の選択における「プレゼンテーション」が、如何に顧客に伝わらないかという点である。

ここで担当いただいている工事担当者は、年間27棟を担当する28歳の若手社員。とても爽やかで、仕事熱心なタイプ。彼の説明は丁寧で、会社の方針にきちんと沿っているのだろうが、使う「用語」がとても難しい。

本日、もっとも多く使われた専門用語として「GL」がある。グランドラインの略であるが、正式には「建物と接する周りの地面の高さを平均したもの」とあるが、日常生活ではまず使用しない。彼が当然のように「GL」を頻繁に使っている現状を考えると、施主はよくわからずにこのGLという語を受け入れており、彼に「わからないので説明してほしい」と要望することはなかったのだ。

売る側が当たり前だと思っていることが、買う側にとっては当たり前ではない。その典型的な例だろう。実は、2点目もほぼ同じ課題を抱えている。

本日は、キッチン・風呂・トイレ・洗面台・玄関扉・玄関タイル・フロアの色、建具の色etc...と設備関係をほとんど決めた。例えばフロア選択。建材メーカー提供のサンプルを並べて色を選択するのだが、ひとつひとつのパーツを選択すること強要されるのだ。

例えば、住宅の次に高い買い物として自家用車があるが、あなたは部品一つ一つの細部にわたるまで、サンプルの色のみで選ぶだろうか。当然、車種別に色がいくつか選択でき、内装もある程度選択することは可能だが、あるテイストに沿って組み合わせが提案されている。むしろプロが提案するので、まとまりもよく決定するのが簡単だ。

家も同じはずだ。施主はパーツの集合体としての「家」を購入するわけではない。家族の楽しい生活などを実現するための容れ物として「家」を購入するのだ。つまりパーツ選択ではなく、パッケージとしての家が欲しいのだ。

であるなら、住宅設備メーカーはより顧客視点の提案を住宅メーカーに投げかけることで、より売上が挙げられることが容易に考えられる。何故なら、顧客はパーツを選択することに疲れているのだ。その不満を解消するために、室内のカラーリングに合わせた設備提案の写真を準備することで、「生活」を具体的にイメージさせることが出来るため、決定に結び付けやすいのだ。

よく顧客から「どれが一番売れているのですか」という言葉を訊くことがあるだろう。それは「選ぶことが難しい」という言葉を翻訳して話していると捉えるべきなのだ。

この提案方法を採用すれば、住宅メーカー自身も打ち合わせ時間の大幅短縮が見込めるため、コスト削減とともに大幅な資本回転率の増加も見込むことが可能だ。今まで二か月かかっていた打ち合わせ期間を一カ月に短縮できるだけで、工事担当者の稼働率を200%に高めることが出来るからだ。

このように顧客の疑問を元に、これまでの業務体制を見直すことで、売上・利益向上はいくらでも図ることが可能なのだ。まずは、これまでの業務を顧客の視点で見つめなおす。その意識を持つだけで、成長はすぐ目の前に近づくのだ。

2011年2月16日水曜日

企業課題解決に情報分析が役立つという事実

IT mediaが実施した「企業におけるソフトウェア活用に関する調査」(2010/12/8~16,回答数634)から、企業における情報分析ツールの活用状況に関して次のような調査結果が明らかに。

「excelで情報分析を行っている企業が圧倒的に多い」「excelで分析できる情報と今ビジネスに求められる情報とのギャップが表れている」「情報分析ツールの活用が進んでいる企業では、自社の業績が「好調」という回答が多い」とのまとめである。

情報分析のために現状導入しているツールとしては、エクセルなどの表計算ソフトを挙げる企業が87.2%。2位以下のアンケート分析やOLAP分析などは20%台にとどまっている。

この調査結果からの結論として、「表計算ソフトは手軽に使用できる良さはあるものの、変化の激しい現在のビジネス状況の中、さまざまなデータを効率的に取得・分析するにはどうしても対応しきれない。扱えるデータが限定され、しかもタイムリーに提供できないことから、結局のところデータをビジネスに貢献する情報として活用できないのだ」とまとめている。

その証左として、「情報分析ツールを効果的に利用し、それをビジネスに役立てていると応えた企業は8.2%にとどまり、9割以上の企業が「利用していない」「利用が進んでいない」「利用は進んでいるが、効果が出ていない」と回答。また、ツールの活用が進んでいる企業ではビジネスの状況が「好調」「やや好調」との回答が高い割合を占めているという数字を示している。

しかしこの結論には2つの疑問点を呈することが出来る。まず、情報分析ツールの活用が進んでいる企業が「ビジネスの状況が好調」だと回答している結果を持って、ツールとの「因果関係」があると結論づけることが出来るのかという点。また、もし因果関係があったとしても、「ツール導入」が原因で、「ビジネス状況の好調」が結果としてどうして言い切れるのかという点である。

確かにビジネス状況の好調を維持発展させるためには情報分析は重要だ。しかし、それはツールの問題ではなく、あくまでデータ分析を行いながら現状を改善しようとする考え方そのものが重要なのだ。つまり、データ分析を行って現状を改善しようと考えれば、その手段がエクセルであっても成果は出るはずなのだ。

何事も「手段」だけでは解決しない。何を解決するのかという「目的」さえ持てば、情報分析ツールなどはエクセルで十分なのだ。ビジネスの課題解決に情報分析が役立つという根本事実こそが、ツールのT活用よりも重要なのだ。

2011年2月15日火曜日

顧客に訊く|新聞広告を使った新規顧客開拓アイディア

本日の日本経済新聞に「誕生!大型規格ハウス。あなたなら何に使う?」という広告が掲載されていた。この広告、広告ではあるがメーカーが顧客に、その使い方を尋ねるという画期的なもの。

コピーが秀逸。『高さ6mのおコメ用乾燥機ハウスとして開発しました!…が、使い方が一つではもったいないので、アイディアを募集します。応募方法はこちら。。。』

この広告。三つの意味が同時に含まれている。ひとつはまさに「商品宣伝」。コピーのおかげで、確実に目を引く宣伝に仕上がっている。ふたつ目は商品を通じた会社広報。「カクイチ」という会社の存在自体をしらなかった人たちが、この広告をきっかけに認知したことになる。

そして最後のひとつ。それが最も重要な意味でもある「新しい使い方」を訊くことで、この商品の可能性を集めようとする姿勢である。

商品は会社側が企画した生産物だ。しかし使い方は顧客の数だけあるといってもよい。例えば極端な例でいうと、ある焼肉屋さんは洗濯機を「たれ製造機」として使っている。もしこの事実をメーカーが真摯に受け止めることが出来れば、新たな販路を開拓する機会になる可能性もあるのだ。

そうした点からみて、このメーカーは、商品の使い方を顧客から募集して、新たな販路開拓しようとしているのだ。この姿勢はとても大切だ。自分たちの一方的な思い込みから脱却して、顧客の声を訊く。まさにマーケティングの本質をつかんでいる行動だと思う。

ただし日経新聞の広告欄が、その効果を発揮するのに十分な媒体かどうかは疑問が残る。ツイッターやフェイスブック、ブログなど様々な媒体を使ったクロスメディアの力をもっと活用する必要があるのではないだろうか。

2011年2月13日日曜日

価格改定を顧客の立場から考える

私の出身地はうどん王国香川。そこに行きつけのうどん屋さんが2軒ある。一軒はコストパフォーマンスの高さが秀逸なうどん屋さん。もう一軒は、うどんって本当においしいなぁと実感させてくれるうどん屋さんだ。

実は、昨日、久しぶりにコストパフォーマンスの高さを評価していたうどん屋さんを訪問したところ、昨年末に値上げを敢行していた事実を知った。うどん1玉120円→150円への値上げである。うどん王国外の居住者にとって、それは誤差ほどの値上げかもしれない。そもそもうどん1杯が120円ということ自体が驚きの価格であるからだ。しかし裏を返せば、この値段で戦わなければならないほど王国内は「激戦区」であるといえるのだ。

さて、この値上げが吉と出るか凶と出るか、その推移ぜひ見守りたい。何故なら、我が家では「もういかないな~」という評価が下されたからだ。3人でこのうどん屋にいくと、うどん中3杯とてんぷらを6ケ注文して990円と千円一枚で事足りるというのが「コストパフォーマンスの高さ」を認識する指標だったのだ。しかし理論的には、この価格が1080円に値上げされたことになり、千円を超えてしまうのだ。

当方にとっての最大の評価点「コストパフォーマンス」が落ちたことによって、このうどん店は、別指標によって評価されることになる。例えば、一度に茹でる面の量が少ないため、客が待たされる時間がかなりある。また、コストを重視しているためか人員が少なく、洗い場に食器類がたまりがちで、若干清潔感に欠ける部分がある。

これらのネガティブ部分をこれまで「価格」というファクターが覆い隠していたにもかかわらず、それを捨ててしまったのだ。その結果、我が家の3名の顧客を失ったのである。これが店舗全体で行くとどの程度の影響なのかが気になる。

例えば10%の顧客を失ったとしても、100人×120円=12000円の売り上げが、90人×150円=13500円となり、1500円の売上増となる。しかし、同時に売上が確保されるはずだったてんぷら(160円×10人)が減ってしまい1600円の減収、結果的に価格改定がマイナス100円と売上減につながるのだ。

売上を上げるためには、「顧客を増やす」か「単価を上げるか」の2つの方法しか存在しない。しかし、ここで忘れがちなのは、常に「顧客を増やす」ことを優先しなければいけない事実だ。何故なら、単価を上げることで失客してしまえば、やはり売上が下がってしまうからだ。顧客が存在してさえいれば、必ず売上はついてくる。逆に商品だけあっても顧客が存在しなければ売上は存在しない。つまり店はつぶれてしまうのだ。

このうどん店。自分たちの本当の強みを捨ててしまった事実に気付いた時にはもう遅い。残したいと思えるほど「美味しい」うどん屋なら、それでも顧客は逃げない。行きつけのもう一店舗のうどん屋が30円程度値上げしても、我々は顧客としてそのうどん屋に通い続けることは間違いないからだ。しかし、「価格」を売り物にしている店が「価格」を捨ててしまったら、何も差別化できないのだ。

経営とは「差別化」であり、顧客が評価している「差別化」部分を、いかに維持・向上させていくかが問われているのである。

2011年2月12日土曜日

仕事の段取りとわかりやすさ

本日は賃貸住宅建築第一回目の打ち合わせ。営業担当者と工事現場担当者との三者面談。進行について顧客の立場でいろいろと考えることがあった。

特に、今日の打ち合わせで感じたのは、「全体像を示すことの重要さ」と「わかりやすさが大切」という2点。

打ち合わせ時間が1時間~1時間半だけしか取れなかったため、今回やるべき内容の全体像をまず示してもらうと、どこがゴールなのか、経過時間と進捗状況を自分自身でも管理できるため、とても安心して議論することが出来る。

これは、営業における顧客訪問でも同じだろう。つまり、訪問の目的を明確化し、今日はどんな話をしたいのか、あるいは訊きたいのかを伝えることで、訪問を受けた側も、面談時間を予想でき、しかも話題について準備することが可能だからだ。

そして次が「わかりやすさが大切」だという点。特に住宅建設の場合、日常接することのない用語や商品が目白押しだ。例えば「フィックス窓(羽目殺し)」という窓、あるいは型板ガラスなど、ガラス一つとってもちんぷんかんぷんである。もし現物や写真集などが、実際に用意されていれば、それを比較しながら検討することができる。

しかしメーカーが準備しているサンプルは、実は最終消費者である施主向けではなく、途中消費者である工務店や住宅メーカー向けに作成されているため、それを使ったプレゼンでは現実感が全くわいてこないのだ。

普段住宅業界にどっぷりつかっていれば、そうした些細な「問題」に気づくこともない。しかし、顧客側の感じ方というのをもっと研究すれば「営業」をより効果的かつ効率的に進めることが十分可能なのだ。

これまでのビジネスは全て販売側・企業側の論理が優先されてきた。それは商品開発、営業過程のいずれにおいても同じ論理が通低している。しかし、これからは「顧客」の論理をどこまで把握することが出来るのかが、競争優位に立つひとつの答えでもある。

2011年2月9日水曜日

常識を疑う|同じ行動を続けながら、違う結果を求めるのは狂気の沙汰である

昨晩、大学時代の先輩とその上司の3人で呑みに出かけた。この上司は、東証一部上場企業の支社長であり、仕事のできる人。かなり責任感も強く、頼まれると断れない誠意の人でもある。

彼は今、小学校のPTA会長を引き受けている。そこで「子供会」の加入率の低下に悩まされているらしい。3~4年前に会長職を引き受けた時点で5割近くあった加入率が2割に下がり危機感を持っているとのこと。彼自身、要因分析を行い、この地域は小学生を持つ家庭の7割が転勤族で、コミュニティへの帰属意識が低いことが要因だと仮定している。

確かに、転勤族の帰属意識が低いことは事実だろう。しかし、そもそも「子供会」の加入率の低さと、地域コミュニティへの帰属意識の低さは因果があるのだろうか。

ここで考えるべきは「子供会」の役割が変化してきたという事実であろう。確かに我々30~40歳代の世代が小学生を迎えた時代、子供会はあらゆる課外活動の中心的な組織だった。当時は学校=地域コミュニティが一体化していた記憶も強い。

しかし現代はどうだろうか。学校が終われば、塾があり、習い事があり、スポーツクラブがあり、それぞれの所在地は地域コミュニティ外に所在してもいる。昔は学校の友達が、学校以外の友達と同義だったが、今ではそれぞれの行動・場所ごとに友達が違っているのだ。つまり、我々も含め日常の活動範囲が地域コミュニティに収まらなくなってしまったのである。

こうした現状にあって、「子供会」に過去と同じ機能を求めても意味はない。求められる機能自体を、子供や家族の習慣や動静にあわせて変化させなければならないのだ。しかしここで、彼が「子供会」の機能自体を見直すことが出来るかが問われてくるのだが、この「責任感」が見直しの邪魔をするようになるのだ。

何故なら、「責任感」というのは、ある与えられた仕事について最後までやり遂げようとする思いであり、それ自体を疑ってかかるという根本的な解決にはつながらないからだ。

社会は常に変化している。その変化に合わせて、既存の概念を「疑う」という姿勢が無ければ、これからの社会で勝ち残っていくことはできないだろう。それはビジネスでも同じだ。

アインシュタインは「同じ行動を続けながら、違う結果を求めるのは狂気の沙汰である」という言葉を残している。もし「売上の低下」に悩んだり、「子供会加入率の低下」に悩んでいるのであれば、これまでとは違う行動をとる必要があるということなのだ。

ペットオーナーの旅行動向と鉄道利用に関する市場調査

JR九州とJR北海道は、ペットカードなるものを導入している。これはペットが「手荷物扱い」であることにたしするペットオーナーからの不満を、少しでも和らげる効果を狙った取り組みの一つだと考えられる。

その不満を示すかのように、ペットとともに鉄道で旅行に出かけた人はわずか5.9%に過ぎず、自家用車利用の92.2%と大きくかい離している。通常の旅行において、鉄道旅行が27.9%を占める事実から考えても、その利用率の低さは注目に値する。

もしこの状況を改善し、ペット同伴旅行の鉄道利用が通常旅行と同様の27.9%まで改善できれば、なんと約250億円の増収効果が想定できるのだ(151万人の利用者×平均17000円の交通費)。

特に都心部居住者の多くは、自家用車保有率も低く、ペットを連れた盆正月の帰省すらあきらめている実態も既に明らかだ。つまりこうした顧客の不満を解消することで、低迷状態にあるJR利用者数の増加と同時に、JRの顧客満足度も向上させることが可能なのだ。

特にコストがかかる取り組みでもない以上、JR北海道・JR九州での実績を踏まえて、まず導入を検討することが必要ではないだろうか。

2011年2月7日月曜日

市場調査企画立案における発想の柔軟性

以前、本ブログで、セメントに関する市場調査について取り上げた。
「一次情報を収集することの重要さ」と題しての投稿だ。

昨日、ある友人に10年ぶりに偶然再会。彼は家業のスクラップ業を続けていた。スクラップ業は、建築業には無くてはならない存在だ。何故なら、何の建築物もない更地はほとんど存在せず、そこに建てられている建築物を壊すことで、初めて建物が建築できるからだ。

セメントといえば建築。そこで、彼に新しいセメントの市場について意見を求めた。すると彼からは意外なコメントが。一次製品ではなく二次製品での展開を考えろというのだ。

新しい発想は常に合理的だ。彼は、セメントは単に一次製品だけではない、二次製品での供給も当然ありうると指摘した。何故そうしたコメントしたのか。その背景は規格問題だ。イノベーティブな商品は、国内規格に検査項目的に合致したとしても、配合原料的に合致しないケースが多々存在する。それは当然、既存製品・技術を核とした国内産業の保護側面があるからだ。

彼は、こうした問題点を見抜き、二次製品での展開を提案することによって、軽々と規格問題を解決してしまったのだ。つまり、完成品を提供するのではなく、あくまで素材としてその商品を捉えなおすことで、国内市場規模を再定義したのである。

これはある製品を、複数の異なる観点からみつめるための好事例だ。ピータードラッカーは、著書『想像する経営者』の中で、「企業が売っていると考えているものを、顧客が買っていることは稀である」という言葉を残している。

これは、ある商品・製品を企業側の固定的な視点で捉えても限界があるということを端的に示している言葉でもある。ある商品・製品を本気で売りたいと思った時には、恥をかくことを恐れずに、多くの人に意見を求めることで、より的確・適切な販売方法・使い方を知るきっかけになりうるのだ。

マーケティングの根幹は、「売る」ことではなく「顧客が何を求めているか」を知ることにある。調査企画自体も、自分の考え方だけにとらわれず、常に「違う」視点を取り入れていく必要を感じた。

2011年2月6日日曜日

営業数値の管理|営業マネージャーの仕事とは

通常、営業管理においては「成果管理」と「行動管理」の2種類が存在する。

成果管理は、「売上を10%伸ばす」「新規顧客を10件獲得する」「既存顧客の離反率を5%下げる」など、結果数値を管理することである。

他方、行動管理とは、「見込客200件に電話をかける」「100件の新規顧客を訪問する」「一日8件既存顧客を訪問する」など、成果が出たかでなかったかを問わずに、その行動過程を数値化し管理する方法である。

成果管理では、成約件数や販売金額、もしくは粗利に応じ、結果に基づいた評価が重要であってプロセスは重要視されない。営業スタイルは、担当者それぞれのやり方に属人化され、知識の共有はあまり行われない。

他方、行動管理では営業成績を問われることは少なく、あくまで営業プロセスを管理される。この場合、営業マネージャーとの連携が頻繁に行われ、営業スタイルはマネージャーの方針によって固定化される。

どちらが良いか悪いかではなく、事業内容や市場環境(導入期・成長期・成熟期・衰退期)、競争環境によって最適な方法を選択するのが定石とされてきた。しかし、これらは「管理」側面を重視した方法論であり、変動的な現在の市場環境は不向きなのだ。

現在の市場環境には、営業マネージャーは営業担当者の「管理者」という立場から、顧客動向の「分析者」であるという立場への転換が求められている。

なぜなら「管理者」の場合、主従関係が明確化されているため、営業担当者は顧客志向にはなりにくく、管理者側の意見や評価を重視しがちとなる。しかし「分析者」の場合、役割分担が明確化されるため、営業担当者は顧客志向を持ちやすく、営業マネージャーや同僚と意思疎通を図りながら、部署全体のパフォーマンスをあげていくことができるのだ。

営業マネージャーは、自身の部署(チーム)に所属する営業担当者が担当する顧客全体の購買動向を月別・年別/商品別/顧客別/担当者別に分析することで、顧客ニーズの変化を的確にとらえ、各営業担当者の弱みを組織的にバックアップし、強みを部署全体で共有する体制を整えることで、部署全体のパフォーマンスを挙げていくという役割を担わなければならないのだ。

「現場の知恵を整理して、全体で共有する」。この能力こそが、現代の営業マネージャーに求められている必須能力なのである。

2011年2月5日土曜日

無料セミナー開催のお知らせ|「次の一手」は顧客が教えてくれる!

2011年3月16日(水)。

中小企業基盤整備機構近畿支部主催、ファーストサーバ株式会社協力による無料セミナーが開催いたします。ご興味のある方は、ぜひご参加くださいますよう、お願い申しあげます。

テーマは『次の一手は顧客が教えてくれる!売上・利益を伸ばすIT活用による顧客分析術』です。
「情報は集めたものの、どのように売り上げにつなげたらいいかわからない…」
このような悩みを持つ経営者の皆様は多いのではないでしょうか?

必要な顧客情報を見極め、正しい手順と手法でデータ分析を行えば、おのずと次に進むべき道が見えてきます。すなわち、「次の一手」は顧客が教えてくれるのです。そして、それを実現する重要なツールが「IT」です。

今回のセミナーでは、売上・収益を伸ばすために必要な、ITを活用した顧客データ分析手法やCRM)顧客関係管理)の実践法について、実例の紹介も交えてわかりやすく解説します!

◆セミナー概要◆
【対象者】中小企業の経営者、幹部の皆様
【日 時】2011年3月16日(水)15:00~17:00
【会 場】中小機構近畿セミナールーム(大阪市中央区大手前1―7―31 OMMビル11階)
【参加費】無料(申し込み先着順30名)
      ※定員になり次第締め切らせていただきます
      ※士業、コンサルタント等専門家の方のご参加はご遠慮ください
【主 催】(独)中小企業基盤整備機構近畿支部
【協 力】ファーストサーバ㈱

◆お申込み及びお問い合わせ先◆
中小機構近畿
担当/馬島(まじま)、牧田
〒540-6591 大阪府大阪市中央区大手前1―7―31 OMMビル11階
電話:06-6910-2235

2011年2月4日金曜日

大阪商工会議所にて「営業講座|儲かる顧客を発掘する営業データ分析」を開催しました

大阪商工会議所にて「営業講座」を開催させていただきました。
講座タイトルは「儲かる顧客を発掘する営業データ分析~顧客ニーズを見極める顧客と市場の攻略重点ポイント」でした。受講者の皆様、どうもありがとうございました。

【概要】
顧客の関心や課題を詳しく知ることは自社の営業実績を伸ばす基本です。本講座ではお手持ちの販売情報や顧客属性情報を効果的に分析する手法を講義し、既存顧客の売上向上や新規顧客開拓につなげます。そのほか市場や商圏のニーズ分析や有効なデータ収集法なども解説します。

【内容】
1.既存事業の販路市場拡大の答えは既存顧客にあり
2.顧客ニーズ分析(顧客ヒアリングから顧客ニーズを絞り込む)
3.顧客データ分析(顧客データから自社の課題を絞り込む)
4.分析から導かれた結果が営業戦略になる
5.定期的な顧客満足度調査で営業機会を創り出す
6.市場分析・商圏分析に役立つ統計情報

【受講者の声】
・普段の行動を定量化していく手法は、明日からでも実践していきたい内容でした。意外と定量化されていない点が多く、客観視すること、仮説をたてることの重要性を知りました。
・今現在、私の会社では売り上げデータの管理・整理すらままならない状態で、まずデータの管理を徹底し、現在やみくもに活動している営業活動の合理化につなげていきたいと考えています。ありがとうございました。
・具体的で非常に理解しやすかった。またぜひとも次回あれば受講したい。
・当社がマーケティングに着手した段階で、「クロス分析」が手軽にできることで興味の対象となった。
・事例を交えて具体的に説明してくださったこと。共感できる事例が多く、面白かった
・データの読み取り方、どの程度の変化に注目し、どの程度の変化は無視してよいかなども教えてほしかった。

2011年2月3日木曜日

ニュース記事を疑ってみる

インターネットニュースにある記事が掲載されていた。タイトルは「年収1500万円世帯の子、4割が難関大進学・・・教育格差が浮き彫りに」。

この記事は、関西社会経済研究所が1月31日に発表した、「資産課税についてのアンケート調査結果」が出典元。この調査、対象は全国の18歳以上の子供がいる世帯主1000人、調査期間は平成22年11月29日~30日、インターネットによる調査だという。

調査結果には、「所得上位層(8%)に多くの資産(24%)が集中」「階層の固定化(会社役員の親の40%は会社役員)」「所得階層が高い家庭ほど、難関校に進学させている」などが明らかになったとしている。

ちなみにこの調査、関西大学経済学部 橋本恭之教授が中心となった抜本的税財政改革研究会が取りまとめたもの。しかし、この関西大学の橋本教授の調査能力のなさにはあきれ返ってしまう。

まず、インターネット調査という手法をつかった場合、代表性という観点から、いくら全国調査を行ったと言えども、日本国民を代表した数値にはなりえないということが理解できていない点にある。

ネット調査では、そもそも60歳代以上の利用率が極端に低い。利用率が低い60歳以上のなかでネット調査に協力する人間がどのような種類の人間かを理解できていない。ちなみに私の親戚で60歳を超えた年齢でネットを使う人は存在しない。一方、大学院にいた頃、周りにいた60歳を超える先生方は、PCを使いこなし当然のようにネットリテラシーを持っていた。つまりこうした階層の人間が、ここでの60歳以上のサンプルとなっている可能性が高いのである。

もうひとつはその分析結果の解釈だ。階層の固定化(会社役員の親の40%は会社役員)などと簡単に結論付けているが、会社を経営すると節税対策などで親を役員にすることも多い。つまり、この教授の想定している親から子への階層継承という仮説とは、全く異なる動きである可能性も高いのだ。

関西社会経済研究所は、あの経済財政諮問会議委員も務めた本間正明が所長をしている研究所である。しかも関西大学教授が、わざわざこの研究会の代表まで勤めているにもかかわらず、この程度の調査と分析しかできないのだ。

経済学者が発表する調査結果とは、あくまで数値分析であり、その数字の根幹をつかさどる調査手法には気を配らず、ただただ数字遊びをしているだけにすぎないのである。

ちまたにあふれるニュースは、調査を土台にした報道が多い。しかしこうした報道も、調査手法などに目を向けるといかにいい加減なニュースなのかに気づかされることが多い。ニュースを配信する記者が批判する能力を持たず、ただ「研究所」というネームバリューだけを盲目的に信じて記事化することには危機感を覚える。と同時に、日本国民全体のリサーチリテラシーの向上を切に願う。

2011年2月2日水曜日

宅配便に見る差別化戦略

パソコンが壊れたのでメーカーに連絡した。メーカーから引き取りの着払伝票が届く。佐川急便だった。そこで佐川急便の営業店を調べるとなんと近隣に一か所のみ。とはいえ約5キロの距離。いつも配達される側で佐川急便の便利さを実感していたが、送る側に立つと案外不便なことに気がついた。

そこで思い立って佐川急便を調べてみた。すると佐川急便はどうやら法人に的を絞って業務展開を図っていることがおぼろげながらに見えてきた。佐川急便は宅配便では完全な後発。そのため、先発のクロネコヤマトとの決定的な差別化戦略をとっているのです。

確かに、個人から個人への宅配便市場は飽和状態。ギフト市場など年々減少傾向。伸びているのはネット通販利用での企業から個人への宅配便やメール便などの企業から企業の宅配便。つまり佐川急便の戦略はまさに時代の流れに乗ったのだ。

ちなみに平成21年の宅配便シェアはクロネコヤマト40.6%、佐川急便36.2%と両者に大きな違いはない。業務対象を絞ること。つまり差別化することで、しっかりその地歩を固めているのだ。

2011年1月31日月曜日

営業支援システムの導入

営業データ分析では、営業支援システム(SFA)で収集したデータがとても役に立つ。

ちなみに営業支援システム(SFA)は、主に商談プロセスの管理や、営業組織内の情報共有、顧客データの管理・分析を行うITツールである。

「これがないと決算ができない」「入力しないと業務が止まってしまう」といった性格のものではないため、なかなか社員の活動が進まない。「せっかく導入したのに…」と嘆く、声が経営の現場からよく聞こえてくる。

導入の目的や責任者が不明瞭な場合は、当然のことながら定着が進まないが、活用が進まない大きな理由は、情報入力者である営業担当者にとってのメリットがほとんど感じられないからである。

営業担当者は既に自分自身のスタイルで、商談プロセスや顧客データの管理を行っている。つまり新しい方法で情報を管理することから出てくるアウトプットを実感できなければ、価値を見いだせないのである。

SFAに価値を見出すためには、蓄積した情報を「分析」し、情報入力者にフィードバックする仕組みが不可欠なのだ。情報(データ)は確かに集計するだけでも意味はある。しかし情報(データ)を分析し、解釈してあげなければ、営業担当者はいつまでたってもSFAの価値を理解することができないのだ。

まずSFAで収集した情報が、営業担当者個人にどれほどのメリットをもたらすのかを体感してもらわなければならない。そのためには経営層(管理職)が実際に分析を行い、営業成績向上に役立つ情報を提供してあげることが必要だ。そうすることで、営業支援システムは本来の価値を発揮することになる。

SFAが定着しないのは、「システムは導入したのに活用されない」ではなく、「活用されるようにシステムを導入していない」というのが真相なのだ。「情報」は蓄積するだけでは単なる数字の集まりにすぎない。分析して解釈するからこそ「価値ある情報」となるのだ。

2011年1月29日土曜日

住宅メーカーの営業プロセス分析や顧客調査

本日は、とある住宅メーカーの支店での打ち合わせ。この支店は9名の営業が在籍し、年間100棟を販売している、売上好調の支店である。

このメーカーでは、営業担当者は個人的な営業活動を必要としない。会社の広告宣伝を見た顧客が、自社が設置する住宅展示場に来訪し、その際担当として配置され、成約に結び付けていくという営業スタイルを確立している。

営業一人当たり平均月4件の商談を抱え、成約率は25%。業界平均が10~15%であることを考えればかなりの高成約率だと言える。しかし、この住宅メーカーの展示場は、いわゆる他メーカーも含めた総合展示場ではなく、自社独自の展示場なのだ。つまり顧客はすでにあるカテゴリー内で、このメーカーに決めてくれているといっても過言ではない。

そこまで足をはこばせていながらの25%という成約率は、実は低い数値であるといわざるを得ない。その原因は営業スタイルにある。ここでも多くの住宅メーカーと同じく営業教育はほぼゼロに等しいおだ。つまり営業担当者ひとりひとりの創意工夫が年間100棟という数字を作り上げているのだ。

多額の広告を使い、また顧客がわざわざ足を運びながらクロージングできないことで75%の収益機会を失っていることに会社は気が付いていない。何故75%もの顧客が未成約で終わったのかを真剣に分析する必要があるのだ。

営業担当者に横の連携はない。何が問題であるか。どういった対応が顧客に喜ばれるのか、実は営業担当者個々人はさまざまな蓄積を持っている。しかし、それを共有するという体制が構築されていない。そもそも担当者制をひいているので、顧客を取られる心配はないはず。あくまで自分自身の担当顧客の成約率を高めていくだけなのにもかかわらず、こうした状況なのだ。

ここで重要な役割を果たすべきは、営業マネジャーだろう。日々の仕事に追われる担当者に代わり、彼らの営業プロセス分析や顧客調査を行い、客観的に担当者ごとのつよみや弱みを伝え、成功事例・失敗事例の共有を進めていくことで、彼らはより効率的かつ効果的に営業成績を向上させることができるのだ。

本来、営業マネジャーの仕事とは営業担当者を管理することではない。営業成績が良いから論功行賞として出世しているわけでもない。あくまで管理監督する営業担当者が、より営業成績を上げられる環境を整備することなのだ。そのための情報収集分析能力を持つことこそが、これからのマネジャーに求められる力なのだ。

2011年1月28日金曜日

ペット愛好者と公共交通機関



一昨日参加した異業種交流会の二次会での出来事。
とあるドッグカフェ経営者が鉄道関係者に意見具申。全国にいるブログ仲間の間で話題のクレームがあるとのこと。

そのクレームとは、鉄道にペットを乗せる際の扱いについて。ペットを鉄道に乗車させる場合、実は手荷物扱いだというのだ。しかも「手荷物票」をキャリーボックス等に付ける必要があるとのこと。飼い主たちの思いとしては大事な家族を手荷物とはけしからんということなのだ。

確かにこれほどペット市場が拡大した日本国内において、公共交通機関がペット対応を迫られているのは現実だ。そこで気になって鉄道のペット対応について簡単に調べてみた。すると手荷物扱いについては全国共通なのだが、JR九州と北海道だけはどうやらペットカードという台紙を発行しているらしい。このペットカードに先の「手荷物票」をホッチキス止めするのだ。

さてこの対応。飼い主さんの気持ちをくみ取れているのだろうか?確かに手荷物とは区別するよという姿勢は打ち出せてはいるが、やはり手荷物扱いからは脱却できてはいない。つまり中途半端なのだ。
ペットが泊まれるホテルや温泉も増えてきている。高速道路などでもパーキングエリアにドッグランを併設する取り組みが行われ始めている。インフラが、ペットと共存することを前提に構築されてきだしているのである。
鉄道は航空業界との熾烈な競争を繰り広げている。航空業界はどんなに頑張ってもペットをシートに座らせることはできないだろう。しかし鉄道はこの点融通が効く交通機関だ。鉄道業界が勝ちのこっていくためには、顧客の要望にこたえる「差別化」が必要だ。
まさにこのペット対応が鉄道業界のひとつの光明につながるのかもしれない。そうした意味で、あらゆる機会でこうした顧客の声を訊くことが重要になっている。

2011年1月27日木曜日

葬儀社と顧客満足度

従兄弟の長男が19歳の若さで他界。本日は葬儀参列のため葬儀社へ。


ここ数年、葬儀参列の機会が突如増加した。正月前の喪中はがきの枚数がそれを如実に物語っている。と同時に、葬儀社の提供するサービスを依頼者側・出席者側の立場から考える機会も増えた。

現在、死亡人口が増加傾向にあるなか、葬祭業界では、新興企業が従来の慣習を打ち破り格安プランを提供する影響などから、価格下落が続き、市場規模は横ばいから微減傾向で推移している。今日の葬儀会場は、こうしたなか業績を年々向上させている業者でもある。

この業者の売りはサービス向上のための「喪家アンケート」である。しかしこのアンケート、何に役立つのか想像もつかない。なにしろ悲しみに暮れている家族が、冷静に「葬儀サービス」を振り返ることなどなどあり得ないからだ。

葬儀を取り仕切る経験など一生のうち一度か二度あるかないか。はっきり言って何をすればよいかは葬儀社の言いなりに過ぎない。

しかし参列者は別だ。ある意味冷静さを持ち合わせている。今日の葬儀ではとにかく「カメラマン」と「アナウンス」と「全体の式進行の大げささ」が鼻についてしかたなかった。悲しみに暮れる家族や故人の友人に向かって無神経にたかれるフラッシュとシャッター音。ここが泣き所だと言わんばかりに感情移入するアナウンス。そして故人を思い出すためと称したイメージ映像。

正直、強く抗議したかった。悲しみに暮れる従兄弟夫妻になりかわって一言でも文句を言いたかった。しかしそんなことをしても、故人や従兄弟夫妻が喜ぶわけでもない。この葬儀社を使うことは絶対にないという思いだけを強く持った。

「顧客の声を訊くこと」こそが商品やサービスを向上させ、企業業績を上向かせる方法であると常々、仕事において語ってきている。しかし「顧客とは誰か」をわからずに訊くことが、どれほど無意味なことかこの事例からぜひ理解してもらいたい。

「顧客」=「お金を払う人」ではない場合もあるのだ。誰の何のためにサービスを提供しているのか。それを定めることができなければ、「顧客の意見を訊く」という行為が暴力になる場合もある。

葬儀社は、故人を愛しむすべての人たちの気持ちを昇華させてあげなければならない。それを邪魔する装飾は全て取り払い、シンプルに徹することだ。目立ってはならないのだ。黒子に徹し、故人とのこれまでの日常に区切りをつける場を淡々と組み立てることなのだ。

2011年1月26日水曜日

コンビニ経営と電鉄経営

本日は異業種交流会の講演会に出席。
講師は、香川日産自動車取締役、サンクスアンドアソシエイツ東四国代表取締役及び高松琴平電気鉄道の取締役の真鍋康正氏。

特にコンビニエンスの経営戦略をわかりやすく解説。コンサルティング会社・投資会社出身者だけあって、統計的素養が高く、科学的な経営姿勢が強く伝わってきた。

現在、国内のコンビニは43372店舗(2010年12月現在)。年間利用者数は139億人。1日1店舗当たり880人平均。客単価は約576円という数値。

現在、国内市場は飽和状態にあり、海外にコンビニのシステムを販売するか、他のチェーンコンビニ店舗をどうM&Aしていくかという状態にあり、「商品力」よりも「立地」に尽きると断言されていた。

過去は、交通量が最優先の立地判断基準だったが、現在は「胃袋の数」だそうだ。つまり、コンビニの主力商品である弁当・おにぎりなどの購買層がどれだけ近隣に居住しているかが重要であり、住宅街の真ん中の「立地」こそがトレンドだと説明していた。

確かに大きな流れとして、この分析は正しい。つまり表層的な人の流れを押さえるのではなく、商品と顧客を結びつけた分析が進んだ結果なのだ。しかし、分析はより一歩進める必要がある。POSデータの分析からは、購入品目と購入者の年齢層・性別の相関関係が解明できる。だからこそ、単身や高齢者で弁当を買う世帯を狙った立地戦略という流れに行きつくのだ。

しかし、この購買行動は、実は本来の顧客ニーズをとらえた結果ではない。あくまでコンビニの商品ベースに集計されたデータであり、高齢者層の望む「食」と単身者が望む「食」が、弁当やおにぎりとは限らないという前提に挑戦しなければ、本来的な顧客ニーズを捉えたとは言い難い。

つまりコンビニチェーン店の競争の中で一歩抜きんでるためには、購買結果データの分析から一歩踏み込んで、購買層の生活行動そのものを調査分析し、ニーズを正確に捉え、それに合致する商材を届ける必要があるのだ。

もちろん真鍋氏はこうした事実を十分承知している。しかしコンビニ本部が存在している中で、ドメスティックな運営会社を経営しているというスタイルにはおのずと限界があることも承知している。このはざまの中で、新しい経営を模索しているのだ。

そうした意味で、これからの経営とは、まさにコンピュータの世界におけるオフコンからパソコンへの転換期に近いのだと思う。つまり全体平均から個への転換点なのだ。もちろん近い将来、パソコンからクラウドにという流れと同様に、再度個から集合へという流れが起こる可能性は高い。

しかし、小売のトレンドが、集約から分散へ、画一から多様へという流れに変化しているなかで、如何に企業内のデータ分析だけに限らず、外部データ、つまり顧客の声を個店別に分析するかがカギとなってくるように感じた。

本当にいろいろと考えさせられ、勉強になった講演会だった。

2011年1月25日火曜日

販売員の対応と顧客満足度

本日、i Pod touchをヨドバシカメラ梅田店にて購入。

その前に、i Podとi Tunesの問題点について販売員さんに確認。
この販売員さんの対応が秀逸。わかりやすさとこちらの期待を超えた対応。
ヨドバシカメラの教育か、あるいはアップルストアの教育か、それとも本人の努力か。
いずれにせよ、ヨドバシカメラのアップルストアの評価は確実に高まった。

現状と確認事項は以下の通り。
現状① PC(1)に購入編集した楽曲がi Pod nanoに入っている状態。
現状② PC(1)がクラッシュしてしまい、PC(2)を購入したがi Pod nanoの楽曲が同期しない
確認① PC(2)に何らかの方法でi pod nanoの楽曲を全て移したい
確認② PC(2)と新規購入するi pod touch & i pod nano を同期させたい

この販売員さん、的確に上記の現状を把握、アップル社員に照会。
しかも、本来はi pod nanoからPCに逆流できない手法について、あくまでも「聞いて知っている情報」だと前置きして、フリーソフトか販売ソフトで対応可能だということを教えてくれた。

我々顧客は、解決策を明確に示してくれることを望んで、店舗担当者に質問している。
こうした希望は、ほとんどの場合裏切られる。その理由は、担当者の知識不足にもあるが、もっとも多いケースは、こちらの希望を十分理解せずに対応しようとする極めて初歩的な問題にある。

こうした店頭での質問の場合、実際に現物が存在しないため確認のしようがない。つまり、顧客側しか正確な情報を持ちえていないのである。もちろん顧客側の伝える能力にも問題はあるが、それ以上に、訊き役であるはずの店舗側担当者の訊く能力が重要になってくる。

小売店での販売力強化研修などでは、よく「大切なことはお客様の立場になって、考え、行動できるか否か」というキーワードが使われますが、その一段階前に、「顧客の考えを適切に訊く」という能力が求められます。

どんな試験でも同じだと思いますが、答えを出すためにはまず「問題」を正確に理解することが問われます。数学にしろ物理にしろ世界史にしろ、全ては問題を読み解くための日本語能力が基礎となるわけです。

営業や販売の世界でも、この原理は同じです。自分たちが取り扱う商品やサービスを顧客に購入してもらうためには、まず顧客が持っている課題や問題を正確に理解したうえで、答えであるソリューションとしての商品やサービスを提供しているはずなのです。

訊く能力とは、ただ黙って訊くということではありません。適切な質問が出来ること、相手の言葉を理解することが大切なのです。もしもアップル製品のことで悩んだときは、ぜひヨドバシカメラのアップルストアへ相談してみてください。個人名は個人情報保護の観点から控えさせてはいただきますが・・・。

2011年1月23日日曜日

顧客の声を訊くことの重要性

本日の朝日新聞。国産エコカーの燃費表示に関して、新測定方式が義務化されるとの記事。

以下、記事抜粋
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エコカー人気で「低燃費」競争が厳しさを増す中、カタログ上の燃費で実際に走る人はほとんどいない。国産車の燃費はとりわけ現実離れしているとの指摘があり、国土交通省が4月から改善に乗り出す。実際の燃費に近い新試験の結果をカタログに表示するようメーカーに義務づける。
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実は、全国50万人が利用するe燃費というサイトがある。このサイトでは、約10万人から携帯電話で実際の給油量と走行距離を入力してもらったデータを集計し、車種ごとに「実燃費」を算出しているのだ。サンプル数が少ない車種もあり、限られたデータに基づく参考にすぎないが、一般ドライバーが一般的な使用環境のもとで析出するデータであるため、ネット上では一定の信頼を得ているという。

例えば、プリウスの実燃費はカタログ値で38キロ/1ℓであるが、e燃費によれば21.7キロ/1ℓという結果だったのだ。国産車メーカーは、試験で良い結果が出るようにエンジンのコンピュータプログラムを調整し、かつ専用のテストドライバーが運転することで、良い数値を出すようにしているという(国土交通省関係者)。

つまり、販売する側は顧客に本当の情報を伝えていないのである。実感としてはわかっていても、数値で示されるととても説得力がある。商品やサービスを売る側の論理で伝えることの問題がこのように潜んでいるのだ。他方、商品やサービスを買った側は、実生活で利用しているため本当の情報を持っている。

これまでは、そうした声を伝える方法がなかったものの、現在では様々なツールのおかげで、こうした声やデータを集めることが可能になった。本当に勝ち残る企業も、一方的な情報配信はやめて、こうした顧客の声を真摯に訊くことが重要になってくるはずだ。

2011年1月21日金曜日

市場調査とは何か

市場調査という技術。一般人にはどのように理解されているのだろうか。

通常、企業がマーケティング活動を有効に進めるために、市場に関する様々な情報を収集することであると説明することが多い。しかし、この説明では、日本語の問題もあって、後段部分に力点が置かれて理解されがちである。つまり「市場」に関する情報を収集する技術であるという認識である。

しかし、本来的に、市場調査という技術は、前段部分に力点を置いて認識する必要があり、マーケティング活動を有効に進めるために必要な情報を収集することなのだ。

マーケティング活動とは、「売るための仕組み」全般をさす言葉であり、単に「買い手」である顧客や消費者の動向だけを理解したとしても不十分である。サービスや商品、価格設定、広告宣伝、販売促進、流通、営業、顧客情報管理などといった実に様々な情報を収集し分析することで、初めて「有効」にマーケティング活動を進めることができるのだ。

私は市場調査を生業としているが、この「市場」に対する調査が、どれだけの信頼性を持って分析することが可能なのかについて常々疑問を感じている。なぜなら、そこにはふたつの課題が横たわっているからだ。

ひとつは「市場」をどのように定義するかという課題。もうひとつはその「市場」を母集団とした正確な情報を、どうやって収集するかという課題である。

ある商品・サービスを展開する際、「市場」を定義する。例えば、ホンダが昨年売り出したCR-Z。開発当初の市場設定は20代、30代の若年世代。しかし、発売が始まってからの主たる購入者は50代、60代の団塊世代だった。つまり「市場」の定義自体を間違えても、製品が売れてしまったという現象。つまり市場調査など何の役にも立たなかったという結末である。

もうひとつ、もし20歳代・30歳代に「市場」を設定したとして、民間の一企業がどのようにサンプリングを行い、科学的に消費者動向を把握することができるのだろうか。

つまり、この二つの課題を抱えたまま実施された市場調査には、少なくとも高い信頼性は求められないという結論に至ってしまうのである。

こうしたよくわからない、あやふやな「市場」を相手にするよりも、既存顧客や社員・取引企業といった既にそこにある資源を活かした情報収集にこそ意味があるのではないだろうか。

既存顧客は、既に自社商品を使った経験があり、その良いところ・悪いところを、あなた以上に知っている可能性が高いのだ。

私自身、外資系ワインメーカーに勤務していた当時、自社のワインよりも他社のワインを飲んで研究することのほうが多かった。しかし、既存顧客は自社ワインを愛飲してくれており、その味や価格などに関する一過言を、少なくとも私よりは有していたはずなのである。また、メーカー社員として酒販店に売ることを業務としている私よりも、店先で実際に購入してくださる顧客を相手にしている酒販店社員のほうが、実はこのワインのよい面・悪い面を知っているはずなのである。

つまり、そこにある「情報」を的確に収集し分析すれば、より成果に直結しやすいはずなのだ。
市場調査という言葉の意味を問い直し、再度、正確に使う努力を関係者が積み重ねていくことが必要なのではないだろうか。

2011年1月20日木曜日

営業担当者は会社そのものである

本日は賃貸不動産に関する市場調査。
調査目的はふたつ。ひとつは売る側が物件にどのような客付け判断をするのか。もうひとつは、管理業者の提供するサービス内容及びその価格動向について。

本日中に廻った不動産業者の中での特徴的な二社の対応を比較する。両社とも20代前半とおぼしき営業担当者。一方は男性、他方は女性が担当。

A社の女性担当者は、まず当方が求める2つの用件を的確に処理。しかも客付判断理由の解説はとても合理的だった。担当者の客観的な意見を排し、統計的傾向や事例を引用しながら、当該物件に関する判断を示してくれた。しかも、会社としての査定も実施し3日以内に回答するとの提示。とても好印象だった。

B社の男性担当者は、2つの要件のうち、管理サービスの内容及び価格動向など全く頭から消え去り、ひとつめの物件判断のみに終始。しかも、あくまでも個人的意見をだらだらと解説するだけでエビデンスを示すという姿勢は一ミリたりとも見られなかった。

顧客にとって、一番初めに応対する「営業担当者」イコール「企業そのものの印象」である。つまり、この場合、少なくともB社との取引などあり得ない。B社は、顧客から得られるであろう生涯利益を一瞬にして失ったのである。

これは何もB社の男性担当者の個人的問題ではない。企業体として、従業員をどのように教育し、顧客対応をマネジメントしているかの問題である。確かB社は、昨年、親会社が会社更生法を申請し、現在、スポンサー企業のもと経営再建中の企業であり、優秀な人材は会社内に残っていないのだろう。

他方でA社は、顧客不満足度調査の導入を公言し、顧客視点に立った経営を標榜している企業体である。もちろんこの取り組みだけが、この結果を生み出しているわけではない。しかし、少なくとも経営層が「顧客を重要視する」と公に打ち出したことが、さまざまな波及効果を生んでいることは確かだろう。

顧客の要望にこたえるために「顧客の声を訊く」。この姿勢を取り続ければ、顧客は必ず利益をもたらしてくれるはずだ。

2011年1月19日水曜日

顧客満足度の低い役所

先日開催した講演会で必要な資料作成のため、高松市役所HPを訪問。
しかし肝心な情報が非掲載だったため、メールにて問い合わせをした。

問い合わせ内容は住民基本台帳の閲覧方法及び閲覧料金について。
グーグル等で検索すれば、多くの市町村が当然のように掲載している情報。
しかし残念ながら、高松市役所HPには掲載されていなかった。

問い合わせをしたのが1月13日木曜日。
回答が届いたのが1月18日火曜日。
つまり4営業日もかかって、この2つの質問に回答しているのである。

しかも、こうした質問がくることなど住民基本台帳を公開している以上、普通に想定可能である。だからこそ、他の市町村はHPに様式がアップロードされ料金が明示されているのだ。

まず回答に4日もかかるということ自体、顧客(市民)対応の悪さが目立つ。しかも我々は、市役所職員がこうした単純な回答をメールで回答する時間に税金を支払っているのだ。もし私が市職員であれば、HPに掲載するように手配すると一言添えて、それを実行するだろう。それこそが業務の効率化だし、市民サービスの向上だろう。

これらを批判することは簡単だ。しかしこれをどう改善していけばいいのか。市役所職員がコスト意識を持つこと、サービスが何たるかを認識すること、税収によって自分たちは働いているということを、無意識的に理解し、日々の業務に取り組める改革とはどうあるべきなのだろうか。

友人である市役所職員は、行財政改革での問題の根幹は高齢者の多さにあると平然と言ってのけた。しかし、そもそも行政を存立させる必要などない。住民がいるからこそ、行政が存立できるのだ。行財政が立ち行かない理由が自分たちにあるということをどのように認識すべきなのか。

そこが市役所の顧客満足度を向上させる唯一で最大の問いかもしれない。

2011年1月18日火曜日

出版社の生き残り

昨日、某出版社の担当者が来訪。
現在書き溜めている営業技術に関する著述の書籍化について。

まず出版事情をほとんど知らないので、いろいろと教えを乞うた。
出版業界はかなりしんどい。電子書籍への取り組みをどうするかなど。
実際、自社企画出版でも持ち込み企画でもヒット率はほとんど同じ。
しかも出版物の半数が初版で終了。つまり赤字で終わる状態にあるのだそうだ。

しかしこの出版社は社史を中核事業としているとのこと。しかもビジネス書が現在の出版事業の主たる内容であるらしい。そこで、社史でお付き合いのある企業に、どんな「書籍」とかかわりのある仕事があるか聞き取り調査を行ったらどうかと提案した。

社史を編纂する企業は比較的安定経営ができている会社である。だからこそ社員教育なども地道に行っているはずだ。この社員教育。意外に適当な研修制度は存在していない。どれも通り一遍。その会社に必要な研修を提案できる企業はあまりないのだ。

だからこそ、聞き取り調査をすれば、こうした社員研修で必要としている技術論の全体像を理解することができるし、しかもビジネス書出版社なのだから、関連する技術のエキスパートを集めて教本を執筆してもらえば、かなり需要の見込める「書籍」が作れるのではないかと提案したのだ。

しかし、担当者から帰ってきた言葉は「それは日経やPHPがすでにやってます」という回答。もちろんそんなことくらいある程度分かっている。しかし、作ってもこれらの企画が売れていないのは、顧客の声を聴かず、こんな情報が必要だろうと制作サイドだけで考えた代物だからなのだ。

既存事業の見直しにしろ、新規事業への取り組みにしろ、少なくともチャネルを持っている顧客の不満や不安を捉えることから始まるのだ。そうした意味で、社史編纂で携わっているパートナー企業群を保有しているだけでも、他社とは差別化できる要素を持っているのである。

しかし、現実的に考える対応策が「電子書籍化」などという小手先の対応を考えている出版社をパートナー企業として、弊社の成長戦略を担ってもらえるとは思えない。企業や営業担当者は「できない理由」を考えるのではなく、「やるためにはどうすればいいのか」を考えることこそが、本当のイノベーションを生み出すのではないだろうか。

2011年1月17日月曜日

データ分析だけではわからないこと

本日の日経新聞一面。「企業 強さの条件」にスーパー最大手のイオンが出店する小型スーパー「まいばすけっと」に関する記事が掲載されている。

この「まいばすけっと」、地価の高い都心部に立地しながら郊外型スーパー並みに価格を抑え、コンビニに対抗するとのこと。それだけに売れ筋は外せないと続く。

商品をレジで打ち込んだ瞬間にデータが物流センターに飛び、需要予測も加味してメーカーや問屋に自動発注するシステムを全面導入。消費者動向に目を凝らし、店舗の運営コストを下げるという。

私はこの試みは近々失敗すると予想する。なぜか。それはこの販売方式が「商品(モノ)」をベースに運営構想が立案されている点だ。そもそも基盤となるデータは、店舗が商品を「仕入れて」「並べて」「売れて」初めて数値化される。しかもその売上数値は「仕入れ数」が上限である。つまりデータを収集する基点からして制限が存在しているのだ。

本来、データ分析に必要な視点とは、消費者の買い物の結果に注目することではない。買い物の結果とは、顧客の「ニーズ」を満たすための「ウォンツ」を提供したに過ぎない。その「ウォンツ」をいくら詳細に分析したとしても、その結果に意味はない。

そもそものニーズを明らかにすることこそが、消費者動向に目を凝らすということであるはずなのだが、イオンも日経新聞社の記者もこのあたりのことを斟酌することなく平然と語っている(記事にしている)。

経営者のビジョンが世の中の方向からずれていると、そこで働く社員は困難を強いられる。
大手企業であれば失敗は許されるが、中小企業はそんな失敗は許されない。
中小企業の経営者の皆様には、データの意味をよく理解して分析してもらいたい。

2011年1月16日日曜日

中小メーカーが市場調査で難局打破

中小企業基盤整備機構が提供する中小企業ニュースに、都内中小メーカーが取り組む市場調査に関する記事が掲載されている。

社員数10人の都内メーカーが独自の市場調査をおこない、新製品を開発、新規市場に相次ぎ参入しているという話。社員が通常業務の合間に、一般消費者に聞き込みを行い、製品開発や価格設定に生かすのが特徴。

東和サプライ/灰皿の煙排除で新製品。
「灰皿から出続ける煙を何とかできないか」。通信ケーブルの延線工事用装置の製造・販売を手掛ける同社は社員10人。社長・社員が手分けして、高速道路のサービスエリアや道の駅など数百か所を回り、喫煙・非喫煙者や灰皿の管理責任者に調査を実施。

調査結果から喫煙所では煙に対する苦情以外に、喫煙者が増える夕方の時間帯と、清掃担当者がトイレ掃除など別の業務に追われる時間帯が重なり、灰皿の掃除にまで手が回らないなどの構造的な問題点が明らかになった。

開発は煙の排除に力を注ぎ、自動消火システムを考案。吸い殻と水を分離する二重構造にし、清掃の負担を軽減した。年内の製品化を目指して開発を進め、すでに地域金融機関から数台を受注した。

チバダイス/バイク用靴底滑りどめ開発
歯車の金型などを手掛ける葛飾区のチバダイスは、独自技術を生かせる市場の調査と製品開発に乗り出している。

調査対象は一般のバイク利用者約200人。調査結果から、スクーターに取り付けて足場を固定するステップバーの開発に的を絞った。バイク利用者は体の前方だけでなく、後方で足をステップバーに乗せたい需要があることがわかり、前後で利用できる商品を開発。製品には靴底の滑り止めとして、金属丸棒表面に独自加工技術を生かしている。販路はバイク部品の専門店などを独自に開拓し、これまで約50個の販売実績がある。

記事は「新製品開発に活路を求める中小企業の課題はマーケティング力。社員数十人規模で市場調査の専門部隊を立ち上げるのは難しいが、社員自らが一般消費者の意見をコツコツ集め、製品開発につなげる動きが出てきた。この草の根的な調査・製品開発が、中小企業が国内でモノづくりを拡充するヒントを与えてくれそうだ」と締めくくっている。

この記事のまとめにある「社員自らが一般消費者の意見をコツコツ集め」jという点が、もっとも重油小田。難局の打破とは、売る(セリング)の立場から、聴く(マーケティング)の立場への大転換なのである。

これまで中小企業は、右肩上がりの成長市場のなか、技術力を中心に企業の成長を支えてきた。そこのは「いいものを作れば売れる」という流れがあった。しかし、現代社会にはすでにものが溢れており、消費者はたとえいいものであっても買う必要がない。それを買ってもらうためには、まさに消費者が抱えている「不」のたねを見つけて、それを解決するソリューションを提供することしかないのだ。

『社員が顧客の意見に耳を傾ける』
この積み重ねだけが、難局にある中小企業が勝ち残るための道である。

2011年1月14日金曜日

佐川急便とクロネコヤマト

明日、講演会がある。今後、提供している社内研修風景などもYOU TUBEを用いて配信することも検討しているため、ビデオを購入し記録&配信実験に使うことにした。

ビデオはバッテリー電源のみだったためアマゾンで予備バッテリー2本を購入。購入日付は11日。加えてパワーポイントでの講義進行のためプレゼンターも購入した。こちらの購入日は13日。しかし実際に到着したのは後者のプレゼンターだった。

前者は山口県宇部市から、後者は堺市堺区から。同じアマゾンに発注したが、前者はクロネコヤマト、後者は佐川急便が担当していた。到着スピードについては、大阪発と山口発の便とを単純比較するのは問題があるかもしれない。

しかし大きく違っていたのは、ネット上での配送状況確認の便利さである。クロネコヤマトは、発送段階と投函段階だけの表記であり、途中経路情報が全く表示されず、どこまで荷物が来ているのかが確認できなかった。他方、佐川急便は発送、中継地、配達店、配達中の経路情報が的確に反映されていたため、急ぎの商品依頼でも安心して荷物の到着を待つことができた。

加えて、アマゾンHPとの親和性にも違いがあった。クロネコはアマゾンHPからの検索には、常にエラーが表記され、クロネコヤマト自体のHPでなければ確認することができなかった。

宅急便は送る側に立った場合、あまりその利便性を問うことはない。無事に指定どおりにつけばいいからだ。しかし、送られる側に立ったとたん、その利便性を強く感じてしまう。

結果、利便性の高い運送会社を送る側、つまり料金を支払う側に立った時に利用することになる。その点、ゆうパックなどはもらいうけ損なっても、わざわざ郵便局に連絡しなければならないので機動性も悪く利用する気すらならない。そう考えると、民間企業は「顧客」の期待にこたえるサービスを提供しているのだが、「顧客」の期待がどこに存在しているのかを知ることはとても難しい。

こうしてブログに書いたりすれば、少なくとも目に留まる場合はあるだろう。しかし、これまでクロネコヤマトや佐川急便のセールスドライバーが、サービスの問題点について聞いてきたことは一度もない。

ヤマト運輸は政府が民間に開放した統計調査事業に乗り込んでいる。全国の集配担当者を調査員として活用しようという試みだ。しかし、こうしたリソースを「売る」ことに活用する前に、自社の顧客の声を「聞く」ことに利用すべきだったのではないだろうか。

顧客がどこに不満を持っているのかを真摯に聞いた企業だけが、企業競争に勝ち残っていけるのだから。

営業マネジャーの仕事|営業活動分析編

売上伝票情報の分析結果から、営業課題の特定と要因分析が可能という話を書きましたが、現実はそう簡単でもありません。

売上伝票情報は万能データとは言えません。何故なら、営業成果のみを記録した情報であり、営業過程が記録されていないからです。営業には成果に結び付かなかった活動も多々あります。こうした活動全てを分析して初めて、本質的に成功要因を明らかにすることができるのです。

そこで重要になるのが「営業日報」。営業日報には通常、「担当者名、作成日時、訪問先、訪問日時、訪問場所、面談者、面談時間、顧客業種分類、件名、内容、情報区分、作業区分、重要度、受注確度、阻害要因、受失注理由」などが記録されます。

これら営業日報情報と売上伝票情報を重ねて分析することにより、営業過程がどう成果に影響を与えたかを明らかにすることができ、効果的な営業方法の確立につながるのです。また成果が出た営業活動のみならず、失注した案件を分析することで弱点を明らかにすることもできるのです。

他方、これらの分析情報は個別の営業担当者の管理だけに用いるのではなく、顧客タイプ別の分析にもつながり、営業ツール開発などにも役立ちます。

このように意味のある情報を収集すること。そしてその情報を適切に分析することで、営業活動を効果的に進める。これこそが営業マネジャーに求められている能力の根幹です。

何も難しいことではありません。情報収集の基礎知識、そしてエクセル機能の使い方を身につけてさえいれば、誰にでもできることなのです。日々の営業数値への取り組みこそが営業成果を上げる近道だと思わず、急がば回れの精神で顧客分析・営業活動分析を進めてみてはいかがでしょうか。

2011年1月13日木曜日

営業マネジャーの仕事|データ分析編

営業マネジャーは、自身が管理する営業担当者の顧客を分析し、彼らの営業成績に直結する情報を提供する必要があります。何故なら、マネジャーの「顧客」とは彼らなのですから。

本来、営業担当者の仕事とは自社の製品・サービスを販売することにあります。しかし、これは表面的な事象であって、本質的には顧客の利益向上に貢献することにあります。

顧客が「なぜ製品・サービスを購入するのか」については、製品・サービスや営業担当者がもたらす情報が、顧客の利益に直結しているからに他なりません。翻って、営業マネジャーの「顧客」は営業担当者であり、彼らに利益をもたらすことこそが仕事なのです。

営業担当者は、自身が担当する顧客のことしかわかりませんし、自分の営業活動の特徴を知ることはできません。しかし、営業マネジャーから見れば、自身が管理する営業担当者が持つ顧客全体を俯瞰できますし、営業担当者の強み・弱みといった特徴については、他の営業担当者と比較することで明らかにできます。

営業マネジャーは顧客全体の動向及び営業担当者の活動を分析することで、成功事例に共通する傾向を捉える事ができます。この傾向さえ捉える事ができれば、効率的かつ効果的に営業活動を進めることができ、結果的に自身が管理する営業担当者の成績向上につながっていきます。

まず顧客全体を俯瞰する方法ですが、どの会社でも必ず蓄積している売上伝票情報とエクセルさえあればかなりの情報分析が可能です。この情報分析からは、「商品」「顧客」「担当者」「営業所」別の売上推移や利益率などを読み取ることができます。

これらの分析結果からは、どこが伸びているのか、どこが落ち込んでいるのといった課題を特定することができます。次にその要因を分析することが重要です。課題が特定できたとしても、要因が特定できない限り、担当者の営業成績を向上させることはできないからです。この要因が特定できれば、打つ手を具体的に考え実行することが可能になります。

この分析に最適な方法は「ピポッドテーブル機能」を使うことです。
分析することは、つまり、物事を構成する要素を分解して、それらを成立している要素・成分を明らかにすることにあります。ピポッドテーブル機能を使えば、要素分解と比較が容易にできるので、課題抽出・要因分析を簡単にサポートしてくれます。

営業マネジャーの仕事は、このピポッドテーブル機能を使って、自身が管理する営業担当者の売上伝票情報を分析することで、かなり効果があがります。

2011年1月11日火曜日

営業マネージャーの仕事

一般的に、企業に在籍されている営業マネージャーの多くは、これまでの実績を評価され昇進された方がたです。こうした方々が、現実的に悩んでおられるマネジメント課題として、「何故部下が売れないかがわからない」という点が挙げられます。

営業マネジャーの仕事には、これまで「自分が売ること」だけでよかったスキルに対して、「人に売らせる」という全く異なる能力を求められているのです。

ではこの能力、どうやったら身につくのか。それはまず、自分自身の営業活動を振り返って、そのプロセスを普遍化することにあります。もうひとつ重要なのは、自身が管理する営業マンが担当している企業全体の数値を分析することにあります。

このどちらもかなり難しい作業です。自分自身の営業活動を振り返るという作業をおこなうと、多くの成功者が「臨機応変に対応している」と感じているため、なかなか普遍化することができません。この「臨機応変」という単語は実にやっかいです。本人はこれを無意識にやってきたのです。だからこそ、有能な選手が必ずしも有能な監督にならないといった格言にもつながります。

もうひとつ、営業マンが担当している企業全体の数値を分析する作業ですが、これは営業担当者の抱えている数値情報及び一次情報を、定期的にしかも正確に集めることができなければいけません。営業担当者は、日々の業務に忙しく、なかなかこうした情報提供にまで時間が割けません。

もし、営業マネージャーの分析結果がとても便利で役立つ情報、つまり営業成績に直結する情報であれば協力的になってもらえます。では、どうしたらこの役立つ情報を準備できるのでしょうか。

これもまた、自分自身がこれまで顧客に対して行ってきた情報収集・分析・提供といった一連の作業過程を振り返る作業に他なりません。何故自身が顧客に信頼され、取引を拡大し続けてきたのか。その理由は、「人柄」ではありません。担当顧客が、あなたと取引することで利益を拡大し、事業を円滑に進められると判断した結果なのです。

つまり、自分自身の営業スタイルを普遍化すること、加えて、自分自身の顧客対応を普遍化することに成功し、かつそれを言語化し、部下に教育し、その作業過程を管理することができれば、あなたは成果を上げる営業マネジャーになることができるのです。

「部下が何故売れないのかわからない」と嘆く時間を、ぜひ、自分自身の営業活動を振り返り、普遍化する作業に費やしてみませんか。

2011年1月10日月曜日

データ分析の面白さ

今週末は「選挙」をマーケティング視点から分析した知見について、現役議員を対象に講演会を実施する。資料準備過程ではとても面白い発見があった。

衆議院議員選挙の年齢別投票率を分析していて気がついた。巷では「日本の投票率下落を主導する、深刻な若者の投票率」などという議論もある。事実、20歳代の投票率は確かに低い。しかし、どんなに若年層時点では低投票率だった世代でも、子育世代に突入したとたん投票率が20%近く跳ね上がるのである。

実は、独身者にとっては年齢が20代であろうが40代であろうがあまり差はない。自分のことだけ心配していればいいのだ。しかし、結婚し子供を持ったとたんに政治に翻弄されるようになる。その典型が幼稚園難民である。制度上の不具合に生活が振り回されるのだ。

家族の就労形態も同じである。扶養控除・国民年金免除を受けることのできる範囲内に収入をコントロールすることなど、これも政治との関係で一喜一憂することになる。

つまり「若者」が投票しなくなったというのはある種の幻影で、平均結婚年齢が上昇した結果、生活に直結する政治との距離がより遠くなったことが投票率の減少を招いていたのである。

すると次のことが指摘できる。必然的に政治に向かい合わざるを得なくなる年齢層の人たちは、新たに投票行動を開始するということ。つまり新規顧客が明確化されることで、この層を如何に取り込むかを考えれば、少なくとも20%近くの大票田が目の前に存在していることになるのだ。

この話は、これまでリピート顧客である高齢層を取り込んできた既存の政治家ではなく、新たに選挙に挑む政治家志望者にとっての福音ではないだろうか。そこには明確に市場が存在しているのだ。あとは如何に、その市場のニーズをくみ取ることができるのか。その一点にかかっている。

2011年1月9日日曜日

スティーブジョブスの顧客志向

週刊雑誌AERAにスティーブジョブス(アップルCEO)に関する記事が掲載されていた。

「競合他社と違って、ジョブスとウォズニアックは、マシーンよりも使う人間を重んじてきた。利用者を第一に考える宗教みたいなものだ」(ソフト開発会社社長アウリ・ライムザディ)

「ジョブスがいなくなって、顧客ではなくて業界内の競争に目が向いたとき、アップルは消えそうになった」(ライムザディ)

「消費者に『何が欲しいか』と聞いて回った結果、iMacを持ち歩きたい、ということだった」(ジョブス)

これらは、ジョブスの顧客志向の一端を明確に示している。
私自身、10歳で初めてPCを買ってもらってから、一度もMacを使用したことはない。しかし、iPod nanoを購入し、今年はとうとうiPadを買ってしまった。

そこには、ウィンドウズPCにはないユーザビリティに溢れたアイディアが詰まっている。スティーブジョブスは、市場調査を否定しているが、顧客の声は重要視している。それは、初代マックに「マウス」を導入し、普通の人に直感的に使える環境を提供した点でも明らかである。

しかも、彼は通常のCEOが重視する財務や業績ではなく、最先端の技術を把握し続けるために、サプライヤー、時にはサプライヤーのサプライヤーにまで面接することで、革新的な技術をどう生かし、他社と決定的に違うヒット商品にするかを「利用者の目」で思考している。

まずは「顧客の声に耳を傾ける」。このことこそ、顧客に愛される企業経営の礎を築くのだ。

2011年1月8日土曜日

ザッポス伝説|顧客が熱狂するネット靴店

話題の本『ザッポス伝説|アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』を読んだ。この本は、顧客視点にたったビジネス展開が如何なる意味を持つか、数多くの知見を提供してくれている。

「ザッポスの成長の一番の原動力となっているのがリピート顧客と口コミです。広告にはほとんど費用をかけず、その費用をカスタマー・サービスと顧客体験に投資し、私たちに代わって顧客に口コミでマーケティングを担ってもらおうというのが私たちの哲学なのです。」

この哲学を徹底するため、気に入らない靴を送り返してくる送料すらも全額負担、また5%程度の売上しかない電話であってもコールセンターに対する投資比率は極めて高い。つまり顧客満足を向上させること(著書では「ワオ!」という驚きを届ける)を追及しているのだ。

確かにザッポスのような小売店は顧客の欲する靴を作り出しているわけではないが、靴を買うならザッポスでと購入窓口を押さえているのだ。どこで買っても同じなら、近所の靴屋よりザッポスで買いたいと顧客に思わせたいと真剣に考えているのだ。

その結果、「一般に、マーケティング部門がマーケティングROIを計算する際、顧客の生涯価値を一定にして考えます。私たちは、顧客の生涯価値を流動的なものとみなしており、あらゆるやり取りを通して顧客の心の中に私たちのブランドとのよりポジティブな絆を作り出せれば、顧客の生涯価値は向上できると考えています。」と著者が述べるように、マーケティングでの顧客生涯価値の概念的定義さえも、覆し、顧客の生涯価値自体を増大させていくという挑戦を行っているのである。

こうした知見は、日本国内のどんな業種業態にも当てはまる普遍的な概念ではないだろうか。これまでは、「顧客がそこで買いたいと思ってくれる製品とサービスを提供すること」という普遍的な企業目的を有していたとしても、結果的に「製品とサービス」という提供側のコントロールが及ぶ部分に注力してきたのが日本企業である。

しかし、これからは、「顧客がそこで買いたい」と何故思ってくれるのかを考えること。つまり提供者側のコントロールが効かない部分に如何に注力していくかが成功するための必須要件なのだろう。

2011年1月6日木曜日

顧客目線にたった提案で活躍する小売業

スーパーを訪れると大量・多種類の商品が陳列されているが、自身が購入するブランドはほぼ固定化している。こうした点からも、現在の小売業の厳しい状況は実感できる。

スーパーの売り上げは14か月連続で対前年同月比を割り込み、百貨店では23カ月連続。コンビニでも8カ月連続である。そうしたなかで、地域に根差したローカルスーパーで業績を伸ばしている中小企業がある。

食品スーパーでは、ハローデイ(北九州)、オギノ(山梨)、ヤオコー(埼玉)、オオゼキ(東京)などである。彼らは何故、増収増益を果たせているのだろうか。その答えが顧客目線にたった提案である。

例えばハローデイの売り場はディズニーランドのような「アミューズメントフードホール」だ。この施策は、買い物は楽しくないと感じる子供連れ顧客に対してのアンチテーゼだ。ヤオコーは、一食の炊事に15分しかかけない主婦のためのメニュー提案を提供し続けている。オオゼキの売り場は時間によって変化する。昼間の専業主婦と夕方の働く主婦では選ぶ食材が異なるからだ。

成長しているローカルスーパーは、顧客の悩みを解消できるようニーズを掬い取り、機敏に対応しているのだ。あのダイエーですら、最初の店は「良い品をどんどん安く」「既存の価格を破壊する」という理念のもと、当時の主婦の抱えている悩み(例:牛肉を安く買いたい)を解消するために安売りを徹底したのだ。

伸びる企業の共通項とは、顧客ニーズを的確に捉えていることだ。成功体験に甘んじることなく、常に顧客目線にたち、顧客の不満・不安を解消することだけが、会社の成長を約束してくれるのだ。

2011年1月5日水曜日

福袋の先へ|CM天気図(朝日新聞)

今朝の朝日新聞のCM天気図は秀逸。現代の消費者の動向を的確に見抜いていると思う。

以下、一部転載
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テレビが映し出す福袋ブームのニュースを見ていると、福袋に集まる人たちが、買い物を楽しんでいるというよりも、何かにせきたてられているように見えてくる。
で、その人たちが住んでいる今のこの国が、特に欲しいものがないという「満たされた社会」ではなく、欲しいものがわからなくなっている「満たされない社会」なんじゃないかと思えてくるのだ。
そんな福袋ブームを映し出しているテレビが、一方でテレビショッピングというケッタイな番組にも、相変わらず熱をあげている。特に民法のBSがひどい。
福袋ブームとテレビショッピングには直接的な関係はない。が、どちらにも、欲しいから買うのではなく、買うという行為自体に、人をどんどんせきたてているような何かがある。何か買わないと、酸欠状態になってしまいそうな、そんな気分に追い込む何かである。
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彼の言う「欲しいものがわからなくなっている」という視点。ここがポイントだろう。

バブル崩壊前までは、人々には「欲しいもの」が確実にあった。現代社会は、大都市人口の肥大化に伴い、地方都市からの大規模な人口流入も減少し、大都市生まれ大都市育ちの幅を利かせている。こうした社会では「欲しいもの」はすでにある。家も車もなにもかも。何しろ多くの若者が大都市の実家暮らしなのだから。

他方で、便利さも究極的に追及され、駅ナカに始まり、乗換駅の大規模商業施設・専門店進出、テレビ&携帯ショッピングと買い物の利便性の向上は著しい。つまりなにかの「はずみ」で買い物ができてしまえるようなシステムばかりが整ってしまっているのである。

その結果、天野祐吉が指摘する『欲しいものがわからなくなっている「満たされない社会」』に行きついてしまったのである。買うという行為をせきたてられ、結果的にモノがあふれているが、気がつけば不必要なものばかり。だからこそ『断捨離』といった整理の術までが書籍化されるのだろう。

ここで目指すべき未来とは、こうした溢れる情報やモノを、自分の生活・習慣に合う形に整理してくれるプロフェッショナルなのだろう。生命保険の世界では、外資系がライフプランニングというスタイルで、保険商品に溺れる日本の消費者に光明を見出したように、一般的な消費財や法人対象であっても、商品を基軸としたマーケティングから、「人」や「法人」を基軸にしたマーケティングに転換していくことこそが、満足できる社会への方向性ではないだろうか。

それを先取りしている好例がIBMだろう。「自社商品他社商品関係なく、顧客のためのソリューションを提供する」。そこを企業命題にして取り組んで成功を収めている。どんな規模の会社でも、この企業命題を追及することは可能だ。それはまた当社もしかり。自分の持てる知識・技術・人脈の全てを尽くして顧客にソリューションを提供するを約束したい。

2011年1月4日火曜日

営業活動の分析こそが営業マネージャーの仕事

ある住宅販売会社A社には営業社員が5人。販売棟数には大きな差がある。
社員Aは20棟、社員Bは17棟、社員Cは12棟、社員Dは7棟、社員Eは5棟。
社員AとEの差は4倍。この実績の違いは何故発生するのか。

一般的にはやる気の問題、あるいは営業担当者の工夫・努力が足りないと考える。しかし、その場合上司はどのように指導するのだろうか。やる気を上げる、工夫の仕方を教える、努力の方法を伝えるなど、とても主観的であやふやな指導方法しか浮かばないだろう。

成果を生む生まないは営業活動の違いに依存している。各営業担当者の活動を分析すると、顧客から収集する情報の質と量に違いがあることがわかった。そこで成果を上げている社員の情報収集ノウハウをリスト化、このリストに従うよう、成果の低い社員の営業活動を指導した。その結果、次年度から会社全体の受注数は25%向上したのだ。

この受注数向上の過程で行った作業は、現状分析とノウハウを指導することの2点のみ。あたらな広告宣伝費も投下していないし、値引販売もしていない。つまり、営業活動を具体的に指導しただけなのだ。

営業成績が上がらないチームの問題とは、営業マネージャーの分析能力にあると断言できる。どんな状況でも成績を上げる社員はいるものだ。その社員の営業活動と成果の上がらない社員の営業活動を比較分析すれば、答えはおのずと見えてくる。あとはそのノウハウを適切に指導・管理していくことで、実績は必ずついてくる。

2011年1月2日日曜日

住宅展示場の営業が抱える課題

本日は、現在進行中の住宅関連業務の参考になればと住宅展示場に足を運んだ。そこの営業担当者のセールスで気になった箇所が2点ほどあった。

ひとつは前職の住宅メーカーの欠点との比較を繰り返す点。もうひとつは、顧客の要望を聞くことよりも自社のセールスポイントをひたすらしゃべり続けた点である。

私も転職経験があるが、分野が異なっていたため営業時に比較例を出すことは皆無だった。しかし、この営業担当者は同業界からの転職だったらしく、ことごとく前職との比較論に終始した。こうした内容は聞いていて不快感を感じる。なぜなら、どのメーカーにもメリットとデメリットがそれぞれ存在するからだ。100%完璧なメーカーなどどこにも存在しない。だからこそ複数のメーカーが存立することができる。つまり、顧客の希望にもっとも近い商品・価格を提供できたメーカーが受注できるのだ。

しかし、彼のように他社と比較して良い点のみを強調するという手法は、顧客の心に「じゃあ他社と比較して悪い点はないの」という疑念を抱かせてしまう可能性が高いのだ。

営業担当者の営業スタイルは属人的な側面が強い。しかし営業マネージャーが担当者の営業スタイルを認知し、問題点を修正するという行動が必要となる。住宅展示場などの場合は、特に音声・映像など、顧客とのセールス現場を録画・録音することが可能だ。これらを分析することで、営業担当者の問題点を把握し、改善個所を教育することが重要だろう。

そして重要といえば、顧客の要望を聞くことに時間を費やすことである。自社のあるいは自社製品の宣伝などは時間の無駄に過ぎない。もしかしたら担当者は「今日のお客様にはうちの優れた点をわかってもらえた」と思うのかもしれない。しかし顧客が何に興味を持ち、どこに不安を感じているかといった情報を入手したうえで、その情報に適切に回答することのほうが、顧客にとっては満足度の高い来訪になるのだ。

住宅展示場に足を運ぶということは意味のある行動だ。全く興味を持たない人間はまずこない。つまり本人に住宅建築に関する意思が存在し、しかもわざわざ行動まで起こしているのだ。

この事実を認識したうえで、自社製品の説明などはパンフレットを渡してしまえば終りなのだ。それよりも顧客は何故、住宅建築を考えているのか、どんな生活スタイルを望んでいるのか、どんな条件を重要視するのかといった情報を、来場時の短時間の間にどれだけ収集するかにかかっている。

これら2つの問題点は、何も個人的な問題ではない。もし、営業を適切にマネージメントしていれば、「顧客の声を聞く」「前職と比較しない」といった基本的な行動は統制されているからだ。つまり、この住宅メーカーでは、営業担当者個人に依存した販売を行っていると言えるのだ。

もしこうした体制を改善し、統制されたマネージメントの元で運営すれば、確実に成約率は高まるはずだ。属人的な営業体制には、良い面もあるが悪い面も存在する。その事実を数的に「見える化」し、良い面は伸ばし、悪い面を改善するといった具体的行動がマネージメントという仕事である。

本来のマネージメントを実施するためには、まず現状把握が不可欠である。現状把握にはリサーチリテラシーが欠かせない能力となる。この能力を鍛えることこそが、マネージメント能力を鍛える第一歩になる。

2011年1月1日土曜日

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

元旦の早朝より、近所のスーパーに清酒を買いにいくことに。ここは我が家から最短距離に位置するスーパー。ちなみに我が家の半径500m圏内には計7件のスーパーが立地しているが、それぞれ24時間営業、生協、地場最大手、PB主体、低価格などの特徴を有している。

特に大手は、ポイントシステムを導入し、顧客別にきめ細やかな対応を実施する方向を模索している感じが出てきている。もちろんPOSデータを分析することで、どの顧客が何を嗜好しているのかは理解できるため、割引券の発行やポイント還元での集客は期待できるだろう。

しかし顧客分析の観点からいえば、単に過去データを分析するだけで競争力が向上するわけではない。なぜならデータは全て過去の事実の集積にすぎない。事実が集積するためには、値段を下げたり、売り場を変えたり、クロスマーチャンダイズしたり、試食販売したりといったアクションが事前に必ず必要である。つまり仮説を立て、実験的な試みを実施し、より成果の高かった取り組みを採用するという流れがあって初めて競争力が向上するのである。

加えて、顧客分析視点を「商品」を中心に組み立てることよりも、「顧客属性」を中心に組み立てる重要性が指摘できる。例えば、NCRが小売ストア・チェーンのデータ分析の結果から、午後5時から7時の間、消費者が紙おむつとビールを一緒に買っている」という事実を確認した。この事実は商品間の相関関係を指摘していた。より詳しい調査結果から、その理由として「乳幼児を持つ父親が外でビールを飲めないので、自宅用に買って帰る」という消費行動がわかってきた。

つまり「乳幼児を持つ親」という顧客層をターゲットすれば、これ以外にもさまざまなクロスマーケティングが可能になるのだ。それは「商品」ではなく「顧客属性」に注目することの必然性を示している好例といえよう。

ほかにも2010年にヒットした永谷園の「しじみ70個分のちから」などは、味噌汁売場ではなく、酒売場で展開したり、忘年会新年会でのフェア実施などを展開中だ。これもまた、誰が飲むのかといった「顧客属性」を考えたマーケティングの勝利だろう。

せっかく大金をかけて導入して集めている宝の山のようなデータである。単品管理などで終わるのではなく、顧客分析の礎として利用することが必要だろう。