2011年2月13日日曜日

価格改定を顧客の立場から考える

私の出身地はうどん王国香川。そこに行きつけのうどん屋さんが2軒ある。一軒はコストパフォーマンスの高さが秀逸なうどん屋さん。もう一軒は、うどんって本当においしいなぁと実感させてくれるうどん屋さんだ。

実は、昨日、久しぶりにコストパフォーマンスの高さを評価していたうどん屋さんを訪問したところ、昨年末に値上げを敢行していた事実を知った。うどん1玉120円→150円への値上げである。うどん王国外の居住者にとって、それは誤差ほどの値上げかもしれない。そもそもうどん1杯が120円ということ自体が驚きの価格であるからだ。しかし裏を返せば、この値段で戦わなければならないほど王国内は「激戦区」であるといえるのだ。

さて、この値上げが吉と出るか凶と出るか、その推移ぜひ見守りたい。何故なら、我が家では「もういかないな~」という評価が下されたからだ。3人でこのうどん屋にいくと、うどん中3杯とてんぷらを6ケ注文して990円と千円一枚で事足りるというのが「コストパフォーマンスの高さ」を認識する指標だったのだ。しかし理論的には、この価格が1080円に値上げされたことになり、千円を超えてしまうのだ。

当方にとっての最大の評価点「コストパフォーマンス」が落ちたことによって、このうどん店は、別指標によって評価されることになる。例えば、一度に茹でる面の量が少ないため、客が待たされる時間がかなりある。また、コストを重視しているためか人員が少なく、洗い場に食器類がたまりがちで、若干清潔感に欠ける部分がある。

これらのネガティブ部分をこれまで「価格」というファクターが覆い隠していたにもかかわらず、それを捨ててしまったのだ。その結果、我が家の3名の顧客を失ったのである。これが店舗全体で行くとどの程度の影響なのかが気になる。

例えば10%の顧客を失ったとしても、100人×120円=12000円の売り上げが、90人×150円=13500円となり、1500円の売上増となる。しかし、同時に売上が確保されるはずだったてんぷら(160円×10人)が減ってしまい1600円の減収、結果的に価格改定がマイナス100円と売上減につながるのだ。

売上を上げるためには、「顧客を増やす」か「単価を上げるか」の2つの方法しか存在しない。しかし、ここで忘れがちなのは、常に「顧客を増やす」ことを優先しなければいけない事実だ。何故なら、単価を上げることで失客してしまえば、やはり売上が下がってしまうからだ。顧客が存在してさえいれば、必ず売上はついてくる。逆に商品だけあっても顧客が存在しなければ売上は存在しない。つまり店はつぶれてしまうのだ。

このうどん店。自分たちの本当の強みを捨ててしまった事実に気付いた時にはもう遅い。残したいと思えるほど「美味しい」うどん屋なら、それでも顧客は逃げない。行きつけのもう一店舗のうどん屋が30円程度値上げしても、我々は顧客としてそのうどん屋に通い続けることは間違いないからだ。しかし、「価格」を売り物にしている店が「価格」を捨ててしまったら、何も差別化できないのだ。

経営とは「差別化」であり、顧客が評価している「差別化」部分を、いかに維持・向上させていくかが問われているのである。

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