電子部品会社の営業部長様からの御相談。
ある大口取引先の近々の取引額が急速に落ちてきた。
通常1500万/月が、ここ2~3カ月は5~600万円/月になってきているというのだ。
その理由として事業部長が電話で、先方に確認したところ、顧客の顧客がこの社への取引を渋っており、転注を検討しているからだというのだ。
その話を聞いた営業部長、早速先方に乗り込んで説得するので、協力してほしいと息巻いていた。そこで私の登場(笑)
部長、もしその大口取引先様やその顧客の立場にたって、同じことされてどう思われますか?
かなり強引な奴だな、勝手な奴だなと思われて終わりですよね!
そんな一時的な説得で、本当にその1500万円の取引が戻ってくるのでしょうか?
そもそも、受注額が落ちた要因すら、一次情報として確認できていませんよね。
であれば、まずは取引が減少している要因について、ぜひ今後の自分たちの課題にするので教えてほしいという姿勢で先方に伺うべきではないでしょうか?
営業とは、目の前の数値が全てになりがちで、どうしても目先の1000万近い減収をどうにかしなければと、短期的な解決策を模索しがちである。しかし、もしこの短期的な取り組みを実際に行った場合どうなるか、一呼吸置いてシミュレートしてみてはどうだろうか。相手の立場に立つというのは実際には難しいが、立場を置き換えて考えてみることは可能だ。
この営業部長の場合、当然、自社でも電子機器製造過程において外注先が存在している。
この外注先への発注量が減っているさなか、突然どうにかして元の発注量に戻してもらえないかと、先方の営業部長が説得に訪れたらあなたはどう思いますか?…と。
「だってうちだって関連商材の発注が減っているからしょうがないじゃない」ということもあるし、「この機会に別の外注先に変わるかな」ということもある。その本当の理由が分からない限り、どんな取り組みを行ったとしても無駄足である。
行動を起こすためには、まず「正確な情報収集」を心がける必要がある。
「説得すればなんとかなる」という姿勢は、こちら側の勝手な論理にすぎない。
顧客は何を求めているのか?こうした変化の機会を捉えて、相手の考え方を知る機会だと考えられれば、よりパートナーとして長い取引が可能になってくる。
結果的に、この大口取引先に赴いた営業部長、原因を確認した結果、震災後のつくりすぎが原因で在庫が積みあがっていたためであることが発覚。ぜひ一緒に取引先開拓についてタッグを組んでやっていきませんかという前向きな話になり、新しい仕事まで取ってこれたとのこと。
もし、初めの鼻息のままお客様のところに説得に言っていたらどうなっていたか?
それを考えるだけで・・・
2011年11月10日木曜日
2011年11月9日水曜日
営業のコペルニクス的方針転換
国内大手の一角を担う、印刷企業の経営企画へのコンサルティング。
この会社では、主事業である印刷部門が年々売上を下げ、赤字体質から抜けきれない。他方、他事業部で収益をなんとか確保してはいるものの、主事業の抜本的な改善は果たせないまま。
そこで営業方針を転換し、1年前から経営企画が旗振り役になって、顧客分析、情報共有、バックアップ体制の強化と、王道ともいえる取り組みを開始。しかし、成果が出ないまま、トップの意向が変節し、経営企画自体も縮小されてしまった。しかし、問題意識を持ち続けている経営企画は、このままでは終われないと、日々、次の方策を検討しているという状態。
私は経営企画担当者にある質問をした。「御社印刷部門は何を売っている部門ですか」と?
すると、担当者たちは、「顧客が必要とする印刷物を印刷する部門」だとか、「顧客の広告戦略の印刷部分を担っています」といった各々の考えを述べてくれた。
つまり、「顧客の問題解決を「印刷」を通じてお手伝いしています」ということである。しかし、企業の本質は「顧客の問題解決のお手伝い」が第一義であるわけだから、なにも「印刷」にこだわらなくてもいいはずなのだ。
なにしろ、印刷会社は非常に特異な存在で、どの規模のどんな業種業態の会社であっても取引出来る数少ない業種の一つである。つまり、自分たちのお客様の悩みを知り、それを解決することが出来るお客様を紹介し合うことが出来れば、当然「顧客の問題解決のお手伝い」ができるのだ。その結果として、印刷物の発注も増えるはずである。
まずはお客様の成長を考えることで、自分たちの営業成果が上がる。これ以上に営業冥利に尽きることはないだろう。そのためであれば、これまで営業成績だけで競い合っていた営業担当者達も、自分の顧客のためという目的をもって、他の営業担当者たちと情報共有が積極的に行われるようになる。
しかも、顧客のための情報収集として、印刷営業が関係会社に新規営業をかけるという絡め手まで使えるため、新規訪問先には事欠かず、結果として売上・取引につながらなくとも既存顧客に役立つ情報を入手・報告することが出来、顧客企業が喜ぶというおまけまでついてくるのだ。
会社の抜本的改革には、なにも経営改革といった大上段に構えた取り組みが必要なのではない。
現場の営業担当者レベルでも、発想を転換すれば、大きな改革が可能になってくる。
まさに、コペルニクス的発想の転換が、現場営業には求められているのだ。
この会社では、主事業である印刷部門が年々売上を下げ、赤字体質から抜けきれない。他方、他事業部で収益をなんとか確保してはいるものの、主事業の抜本的な改善は果たせないまま。
そこで営業方針を転換し、1年前から経営企画が旗振り役になって、顧客分析、情報共有、バックアップ体制の強化と、王道ともいえる取り組みを開始。しかし、成果が出ないまま、トップの意向が変節し、経営企画自体も縮小されてしまった。しかし、問題意識を持ち続けている経営企画は、このままでは終われないと、日々、次の方策を検討しているという状態。
私は経営企画担当者にある質問をした。「御社印刷部門は何を売っている部門ですか」と?
すると、担当者たちは、「顧客が必要とする印刷物を印刷する部門」だとか、「顧客の広告戦略の印刷部分を担っています」といった各々の考えを述べてくれた。
つまり、「顧客の問題解決を「印刷」を通じてお手伝いしています」ということである。しかし、企業の本質は「顧客の問題解決のお手伝い」が第一義であるわけだから、なにも「印刷」にこだわらなくてもいいはずなのだ。
なにしろ、印刷会社は非常に特異な存在で、どの規模のどんな業種業態の会社であっても取引出来る数少ない業種の一つである。つまり、自分たちのお客様の悩みを知り、それを解決することが出来るお客様を紹介し合うことが出来れば、当然「顧客の問題解決のお手伝い」ができるのだ。その結果として、印刷物の発注も増えるはずである。
まずはお客様の成長を考えることで、自分たちの営業成果が上がる。これ以上に営業冥利に尽きることはないだろう。そのためであれば、これまで営業成績だけで競い合っていた営業担当者達も、自分の顧客のためという目的をもって、他の営業担当者たちと情報共有が積極的に行われるようになる。
しかも、顧客のための情報収集として、印刷営業が関係会社に新規営業をかけるという絡め手まで使えるため、新規訪問先には事欠かず、結果として売上・取引につながらなくとも既存顧客に役立つ情報を入手・報告することが出来、顧客企業が喜ぶというおまけまでついてくるのだ。
会社の抜本的改革には、なにも経営改革といった大上段に構えた取り組みが必要なのではない。
現場の営業担当者レベルでも、発想を転換すれば、大きな改革が可能になってくる。
まさに、コペルニクス的発想の転換が、現場営業には求められているのだ。
2011年11月8日火曜日
殿様営業
昨日、会社に一本の営業電話がかかってきた。
大阪のとある業界団体への加入勧誘の営業電話である。
ちょうど一年前に、同じ電話を頂戴し、担当者が訪問してきた。
その時には、他の案件でこの業界団体とお仕事をすることになり、
会員勧誘の話は、あっという間に終わってしまった。
この営業電話の内容であるが、あきれるほど幼稚な内容だ。
ただ単純に、「〇〇〇〇」の会員にはもうなられていますか?」
「もし入っていらっしゃらなければ、いろいろとメリットがありますのでいかがですか?」
などというだけなのだ。
そもそも加入勧誘なわけだから、会費が発生するはず。
その会費に対して、どのくらいの具体的メリットが会員各社にもたらされたのか、
具体的な数値で示すことで、興味を引くことすらなかったのだ。
と同時に、この電話を受けている私の時間を浪費させているということを全く考えていないということ。少なくとも、経営者に電話をするわけだから、忙しいことは分かっているはず。
こちらは決定権者なのだから、十分刺さる情報を提供すれば、その場で加入になる可能性も高い。そんな絶好の機会をもらっているにもかかわらず、特にメリットもない話で時間を浪費させているのだ。
こうした業界団体の職員は、加入団体の繁栄のために「会費」をいただいているという意識が全くないように思う。実際、この会で過去実施したセミナー担当者も、そうした思考は全く持ち合わせていなかった。
会費を払っていただく顧客は誰なのか。何を求めているのかを真剣に考えたうえで、こうした営業電話をかけるべきではないだろうか。まさに「殿様営業」を絵にかいたような経験だった。
大阪のとある業界団体への加入勧誘の営業電話である。
ちょうど一年前に、同じ電話を頂戴し、担当者が訪問してきた。
その時には、他の案件でこの業界団体とお仕事をすることになり、
会員勧誘の話は、あっという間に終わってしまった。
この営業電話の内容であるが、あきれるほど幼稚な内容だ。
ただ単純に、「〇〇〇〇」の会員にはもうなられていますか?」
「もし入っていらっしゃらなければ、いろいろとメリットがありますのでいかがですか?」
などというだけなのだ。
そもそも加入勧誘なわけだから、会費が発生するはず。
その会費に対して、どのくらいの具体的メリットが会員各社にもたらされたのか、
具体的な数値で示すことで、興味を引くことすらなかったのだ。
と同時に、この電話を受けている私の時間を浪費させているということを全く考えていないということ。少なくとも、経営者に電話をするわけだから、忙しいことは分かっているはず。
こちらは決定権者なのだから、十分刺さる情報を提供すれば、その場で加入になる可能性も高い。そんな絶好の機会をもらっているにもかかわらず、特にメリットもない話で時間を浪費させているのだ。
こうした業界団体の職員は、加入団体の繁栄のために「会費」をいただいているという意識が全くないように思う。実際、この会で過去実施したセミナー担当者も、そうした思考は全く持ち合わせていなかった。
会費を払っていただく顧客は誰なのか。何を求めているのかを真剣に考えたうえで、こうした営業電話をかけるべきではないだろうか。まさに「殿様営業」を絵にかいたような経験だった。
2011年11月7日月曜日
営業は「仕掛け」
現在、全国で524店舗も展開している「丸亀製麺」。
私はうどん県(香川県改)出身者でもあり、うどんに対しては他の讃岐人同様かなり思い入れは強いほうだ。その讃岐人をもってして、このチェーン店はなかなかの高評価である(周囲の讃岐人への調査結果も含む)。
このチェーン店舗の特筆すべき点は、うどん修行をしたわけでもない素人同然の社員・パート・アルバイトによって、比較的高水準の「うどん」が創り出される点につきる。
あるテレビ番組で、その快進撃と生産工程を知り、その標準化された美しいほどの店舗経営に、尊敬の念すら抱いた。しかし、この快進撃の裏には、ある企業が密接にかかわっていることが先日判明した。
その企業とは、香川県坂出市にある大和製作所という製麺機メーカーである。この企業こそ、運営会社トリドールに提案を行い、「丸亀製麺」を成功に導いた影の主役でもあったのだ。確かに、これまでうどん店経営に素人だったトリドールが、なぜあれほどのうどんを、あれほど効率的に提供できるのかの背景を考えるべきなのだ。
製麺機メーカーの営業を考える際、いくつかの考え方がある。当然、まずは、これまで手打ちしている全国のうどん店に製麺機を売り込むこと。また、既にライバルメーカーの製麺機を導入しているうどん店への浸食を図ることもできるだろう。しかし、この大和製作所は、トリドールに「うどん店経営」を働きかけ、結果的に524機のうどん製麺機を販売したのである。
先日、このブログで紹介した医療機器メーカーの営業担当者同様、大和製作所は、まさに需要を創りだす営業をおこなった好例であろう。これまでの営業の枠にとらわれず、大所高所から営業を考えなおせば、誰もがこうした需要創造が可能なのではないだろうか。
営業とは、単に目の前の顧客の「問題解決のお手伝い」を果たせばいいというものでもない。
自分自身が持つ経験や知識・技能を、顧客の得意分野と併せて開発する。
こうした創造的営業こそが、今後の営業担当者に求められる必須の能力ではないだろうか。
私はうどん県(香川県改)出身者でもあり、うどんに対しては他の讃岐人同様かなり思い入れは強いほうだ。その讃岐人をもってして、このチェーン店はなかなかの高評価である(周囲の讃岐人への調査結果も含む)。
このチェーン店舗の特筆すべき点は、うどん修行をしたわけでもない素人同然の社員・パート・アルバイトによって、比較的高水準の「うどん」が創り出される点につきる。
あるテレビ番組で、その快進撃と生産工程を知り、その標準化された美しいほどの店舗経営に、尊敬の念すら抱いた。しかし、この快進撃の裏には、ある企業が密接にかかわっていることが先日判明した。
その企業とは、香川県坂出市にある大和製作所という製麺機メーカーである。この企業こそ、運営会社トリドールに提案を行い、「丸亀製麺」を成功に導いた影の主役でもあったのだ。確かに、これまでうどん店経営に素人だったトリドールが、なぜあれほどのうどんを、あれほど効率的に提供できるのかの背景を考えるべきなのだ。
製麺機メーカーの営業を考える際、いくつかの考え方がある。当然、まずは、これまで手打ちしている全国のうどん店に製麺機を売り込むこと。また、既にライバルメーカーの製麺機を導入しているうどん店への浸食を図ることもできるだろう。しかし、この大和製作所は、トリドールに「うどん店経営」を働きかけ、結果的に524機のうどん製麺機を販売したのである。
先日、このブログで紹介した医療機器メーカーの営業担当者同様、大和製作所は、まさに需要を創りだす営業をおこなった好例であろう。これまでの営業の枠にとらわれず、大所高所から営業を考えなおせば、誰もがこうした需要創造が可能なのではないだろうか。
営業とは、単に目の前の顧客の「問題解決のお手伝い」を果たせばいいというものでもない。
自分自身が持つ経験や知識・技能を、顧客の得意分野と併せて開発する。
こうした創造的営業こそが、今後の営業担当者に求められる必須の能力ではないだろうか。
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