2011年2月3日木曜日

ニュース記事を疑ってみる

インターネットニュースにある記事が掲載されていた。タイトルは「年収1500万円世帯の子、4割が難関大進学・・・教育格差が浮き彫りに」。

この記事は、関西社会経済研究所が1月31日に発表した、「資産課税についてのアンケート調査結果」が出典元。この調査、対象は全国の18歳以上の子供がいる世帯主1000人、調査期間は平成22年11月29日~30日、インターネットによる調査だという。

調査結果には、「所得上位層(8%)に多くの資産(24%)が集中」「階層の固定化(会社役員の親の40%は会社役員)」「所得階層が高い家庭ほど、難関校に進学させている」などが明らかになったとしている。

ちなみにこの調査、関西大学経済学部 橋本恭之教授が中心となった抜本的税財政改革研究会が取りまとめたもの。しかし、この関西大学の橋本教授の調査能力のなさにはあきれ返ってしまう。

まず、インターネット調査という手法をつかった場合、代表性という観点から、いくら全国調査を行ったと言えども、日本国民を代表した数値にはなりえないということが理解できていない点にある。

ネット調査では、そもそも60歳代以上の利用率が極端に低い。利用率が低い60歳以上のなかでネット調査に協力する人間がどのような種類の人間かを理解できていない。ちなみに私の親戚で60歳を超えた年齢でネットを使う人は存在しない。一方、大学院にいた頃、周りにいた60歳を超える先生方は、PCを使いこなし当然のようにネットリテラシーを持っていた。つまりこうした階層の人間が、ここでの60歳以上のサンプルとなっている可能性が高いのである。

もうひとつはその分析結果の解釈だ。階層の固定化(会社役員の親の40%は会社役員)などと簡単に結論付けているが、会社を経営すると節税対策などで親を役員にすることも多い。つまり、この教授の想定している親から子への階層継承という仮説とは、全く異なる動きである可能性も高いのだ。

関西社会経済研究所は、あの経済財政諮問会議委員も務めた本間正明が所長をしている研究所である。しかも関西大学教授が、わざわざこの研究会の代表まで勤めているにもかかわらず、この程度の調査と分析しかできないのだ。

経済学者が発表する調査結果とは、あくまで数値分析であり、その数字の根幹をつかさどる調査手法には気を配らず、ただただ数字遊びをしているだけにすぎないのである。

ちまたにあふれるニュースは、調査を土台にした報道が多い。しかしこうした報道も、調査手法などに目を向けるといかにいい加減なニュースなのかに気づかされることが多い。ニュースを配信する記者が批判する能力を持たず、ただ「研究所」というネームバリューだけを盲目的に信じて記事化することには危機感を覚える。と同時に、日本国民全体のリサーチリテラシーの向上を切に願う。

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