2011年11月15日火曜日

営業成績トップのMRから学ぶ「顧客志向」

とある外資系製薬会社の営業マンから訊いた話。

彼女は、毎年、その企業でトップクラスの成績を収めている。
全国にMRは6万人近く存在しているが、そのなかでなぜ彼女は営業成果を上げ続けられるのか。

そのひとつの要因として、「顧客の日常行動パターンの把握」が重要であるという。
これは、昨日、「ピンチをチャンスに」内でも述べたが、顧客がどのような生活行動の中で、商品を使用しているのかをしらなければ、本当に顧客に必要とされる商品が作れないというのと同じことだ。

やみくもに訪問しても、対象とする医師は相手にもしてくれないばかりか、悪い印象しか残さない。しかし彼女は、担当医師の診察時間や、どの時間帯は余裕があるのか、いつごろならアポがとりやすいのかについて、事前に把握したうえで連絡を行っているというのだ。

つまり、顧客自身の立場に立った時、どうすればMRから話を訊く体制になれるのかといったことを考えて行動しているのである。

もちろん、これだけで営業成績がトップになるわけではない。
しかし、営業担当者は自分の商品を売ることに必死になってしまい、顧客のことをしばしばわすれがちである。相手も人間であり、単純に商品だけ買うのなら、ネットで十分な時代はすでに来てしまっている。

そうしたなかで、営業担当者がその力量を最大限発揮するためには、購入者の立場に立って、代理人としてどう働くのかという考えも必要だ。

英語では営業マンのことを、セールスレプレゼンタティブと表記する。
このレプレゼンタティブには、代表者・代理という意味が含まれている。
基本的には会社側の代表者を意味していると思われるが、私は顧客の代理人としての意味も大いに含まれていると感じている。

誰が収益を生み出しているのか。
それは顧客に他ならない。
顧客視点に立つことの重要さを示唆している話だった。

2011年11月14日月曜日

ピンチをチャンスに


我が家で数年前に購入した液晶テレビ。

このたび、同製品使用中に発煙があったとの重大事故の発現により、消費生活製品安全法に基づくリコールが発表された。リコール対象は約19万件。我が家には、購入した電気店からのDMによって情報が伝達され、当方より、直接メーカーのコールセンターに報告。先日、メーカー修理担当者が訪問され、約30分ほどの作業を終えた。

訪問担当者に話を聞いたところ、この19万件を1200チーム(1チーム二名構成)で担当しているとのこと。1チーム当たり約160件を訪問する計算になる。

さて、タイトルに「ピンチをチャンスに」と書いたが、
私が驚いたのは、この訪問が、ただの修理だけに終わっていたということだ。

メーカーは、実は購入者が誰かということを全く把握していない。あくまで販売者である量販店や販売店が直接の顧客であるからだ。今回の連絡も先に書いたように、あくまで購入した電気店からの報告によってだ。つまり、今回のリコールによって、このメーカーは、直接顔の見えるお客様19万件の動向が手に入るチャンスがあったわけだ。

設置場所の写真。埃の積もり度合い。照明との位置関係や視聴ポジションとの距離など、マーケティングデータとしては「生」の貴重な情報が手に入るはずだった。しかし、残念なことにこうした取り組みは一切なく、ただの修理に終始してしまっていた。

2400人ものメーカー社員を動員するために、いったいどれだけのコストをかけているのだろうか?1日3件まわっても、約2カ月フル稼働しなければならない。人件費だけで約12億円の出費だ(1200人×50万円×2か月=12億円)。

これだけのコストをかけるわけだから、何か得られる教訓があるはずだ。こうしたリコールを単なる「コスト」と考えず、顧客から学ぶという姿勢を常日頃から持ってさえいれば、より顧客のためになる有効なデータが収集できたはずなのだ。

日本のテレビメーカーは、韓国など新興国に惨敗の様相を呈している。それは、製品を「単なる販売物」として捉え、「顧客の生活の一部分を構成している要素」として見れていないことが、敗因の一要素ではないかとも思う。

「顧客の生活の一部分を構成している要素」としての製品を見るためには、顧客の生活の場に入り込むことこそが唯一の方法なのだ。マーケティングリサーチで表面的な質問をするよりは、実際に顧客の家に訪問し、どうやって製品を使用しているのかを知ることの方が、何十倍もの重要なデータが入手できるのだ。

こうした機会をチャンスと捉えられなかった今回のリコール。
まったくこのメーカの管理職は、どんな仕事をしているのだろうか?