2010年12月19日日曜日

一次情報を収集することの重要さ

西日本旅客鉄道が大阪~札幌を運行するトワイライトエクスプレスという寝台特急列車をご存じだろうか。日本版オリエントエクスプレスと呼ばれた時期もある。

この列車のA個室ロイヤルスイート(1号車1番)の予約が取れたので、父と二人で北海道観光に出かけた。プラチナチケットらしく、予約するのがとても難しいのだそうだ。

父はいわゆるレールファンだ。スイスの登山鉄道、ヨーロッパのオリエントエクスプレス、南アフリカのロボスレイルと、世界の列車を体験してきて、最後の楽しみにとっておいた寝台列車だった。

しかしである。実際には期待を裏切られる残念な列車だった。
まずその揺れの大きさ。確かに列車の両側は最も揺れるとはいえ、その揺れの大きさたるや尋常ではない。乗り物酔いには強い私もさすがに弱ってしまった。加えてシャワールーム&トイレの構造の稚拙さ。排水がうまくいかず、密閉された小部屋の足元で波をうつ始末だった。

さて、タイトルの「一次情報を収集することの重要さ」と、何が関係しているかといえば、この事実である。これまで、父はトワイライトエクスプレス関連の雑誌や旅行記など、様々なものに目を通してきた。そこでは一貫してポジティブな評価だった。だからこそ期待も膨らんでいた。

つまり、世の中に流布されている「二次情報」と、私たちが感じた「一次情報」とは全く違うものだったのだ。私は市場調査を専門としている。つまり情報収集が仕事である。そこでいつも注意するポイントがある。それは「一次情報であること」と「客観的事実であること」だ。

誰かがこう言ってたから、という情報の信頼性は極めて薄い。もしその情報を信頼できるとすれば、客観的事実が示された場合に限られるだろう。

ではなぜトワイライトエクスプレスの情報は、ポジティブな意見で占められていたのだろうか。
まず、雑誌記事であるという点である。通常大人二人で乗車すれば、夕食も含め10万円は下らない。
しかも予約が取れない列車である。覆面調査という客観的な手法で調査は不可能に近い。つまり西日本旅客鉄道が協力しなければ体験することすらできないのだ。その結果、どうしても強い意見は書きづらい。

加えてその希少性である。展望室が最後尾として機能するのは週4回だけ(大阪発)。つまり年間200組程度しかこの空間を体験できないのだ。1989年12月から一般運行を開始したというから約20年間で4000組。これだけの人たちしか体験していないため「一次情報」が聞こえてこないのだ。

いくらマクロな「二次情報」を大量に集めても、こうしたミクロな「一次情報」を収集しない限り、情報はほとんど役に立たないという証左である。市場調査はまさにこの点が肝要なのだ。

企業にとって大切なのは、多くの人から集める「二次情報」ではない。
本当の顧客の声、つまり「一次情報」をどれだけ集められるかである。
これからの企業の存続は、この一点にかかっているといっても過言ではない。

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